時の宰相でも読めないような、滅多に使わない漢字「未曾有」。「未だ曾(かつ)て有らず」という大震災に直面し、何をしたらよいかを冷静に考える毎日だ。

 しかし、過去には大震災を扱った映画や小説がたくさんある。そのひとつ、アニメ化もされた名作漫画『機動警察パトレイバー』を思い出した。エンディングに流れる名台詞「この物語はフィクションである。......が、10年後においては定かではない」

 そして20年後に現実となった。

『マンガ建築考』は柳田理科雄が著した『空想科学読本』(メディアファクトリー)の建築物版。実在する建築会社がマンガの構造物を作った場合を扱った『前田建設ファンタジー営業部』(幻冬舎)をもっと現実的に考察した作品だ。

 取り上げた作品は『賭博黙示録カイジ』『ワンピース』『進撃の巨人』『花より男子』『へうげもの』など20作品以上。実現するために設計図を起こし、工法から施工会社、予算、特殊な資材の調達方法や歴史的背景まで解説する。先の『機動警察パトレイバー』に関しては、戦後復興時代に実際に計画された『ネオ・トウキョウ・プラン』と作品内の『バビロンプロジェクト』を比較検討するなど、薀蓄話も満載されている。

 一般の人にもわかるよう非常に噛み砕いて説明しており、図版が少なく分かりにくいのが少々難点だが、建築・構造物マニアにはたまらない。一番簡単にみえる『めぞん一刻』の一刻館は、こんなに複雑だったのかと驚かされる。

 日本の土木・建築技術は世界一。きっと大丈夫だ。

(東えりか)







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