韓国メディアが東日本大地震をパニック映画と関連付け報道

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日本では近年、マスコミに対する不信感が高まっているが、韓国でも同じような状態のようだ。日本を襲った大規模地震について連日速報で伝える韓国メディアだが、報道の仕方が不適切だとして韓国国民らが不快感をあらわにしている。

日刊紙「中央日報」をはじめソウル新聞、韓国経済、マネートゥデイ、天地日報、スポーツカンなど複数のメディアは、日本で起きた巨大地震について「映画『日本沈没』を見ているよう」「映画『日本沈没』が予言した」「映画『日本沈没』が現実化するとは」といった見出しで11日から12日にかけて報じた。

映画『日本沈没』は、小松左京による日本のSF小説を映画化したもので、大規模な地震が発生し、日本列島が海の中に沈没してしまうストーリー。1973年と2006年に2度制作され、06年版では草なぎ剛や柴咲コウが出演した。

記事の内容をいくつか簡単に紹介する。中央日報は「『日本沈没』映画は先に述べた」(12日付)という見出しで次ぎのように報じた。「日本がパニック状態に陥った。大規模な地震と津波のせいだ。自然の恐るべき破壊力に恐怖が増幅する。日本の大衆文化でもこのような兆候は何度も表現されてきた。もっとも象徴的な作品が映画『日本沈没』(06年)である。映画が予告した災害が、現実に再現された感じさえする」と伝え、文章の後半では関連映画として米国の『2012』(09年)、韓国の『TSUNAMI -ツナミ-』(09年)、タイの『2022ツナミ』(09年)を紹介した。

ソウル新聞は「140年ぶりの最悪強震…『日本列島半分沈没』前兆か」(12日付)という見出しで伝えた。「『大地震が必ず来る』と明かした専門家たちの『予言』に注目が集まっている」「専門家たちは日本に超大型地震が近づくと予想した。最も悲劇的な予想は、日本列島の半分が海に沈む『日本沈没』が現実化するというものだ。一部ではこのような超巨大地震が起こるもっとも有力な都市として東京を指摘する」と報じた。

マネートゥデイは、「日本映画『日本沈没』『関東10大地震』5年前に予言」(11日付)という見出しを用いた。「11月午後2時54分規模8.4の強震が日本の宮城県を強打したが、5年前に日本の映画が同じような大地震を予言し話題を集めている。2006年国内で8月31日に公開、100万人を動員した樋口真嗣監督の『日本沈没』がそれだ」「映画の舞台になった日本駿河湾は、今回の強震が発生した宮城県から約500キロ離れている」と伝えた。

このような報道に対し、不快感を示す韓国人は多い。「日本が地震大国だからこういった映画ができただけ。予言だなんて。ゴミのような記事め」「日本が沈没したら次ぎは韓国。日本がいるから韓国がいる。そんな発言を簡単にするな」「この見出しはなんだ。反日感情を利用した下劣な扇状記事だ」「日本沈没?このような状況でどんだけ傷をつけたいんだ?こういった見出しなら新聞が売れるからか?中央日報は日本に謝罪すべきだ」。

想像を絶する日本の被災状況は、韓国には一部の映像や写真を通してしか伝わっていない。日本と直接つながりを持たない人であれば、メディアが流れる映像を客観的に見て「映画のようだ」と単純に感じてしまうのは仕方のないことかもしれない。だが大手メディアが他国の災害に対し「映画『○○』みたい」などと報じたりするだろうか。韓国メディアの報道の仕方には、多くの韓国人同様、怒りを禁じ得ないものだ。


参照:140年ぶりの最悪強震…『日本列島半分沈没』前兆か - ソウル新聞
参照:「日本沈没」映画は先に述べた - 中央日報
参照:日本映画『日本沈没』『関東10大地震』5年前に予言 - マネートゥデイ

(文:林由美)

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