『UQ WiMAX』の広告から透けて見える 父親たちの“実現しない”願望とは

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ある日、山手線に乗っているときに『UQ WiMAX』の衝撃的な広告コピーが目に飛び込んできた。「娘のアパートに男は絶対立ち入り禁止だ。たとえそれが、回線工事の人であっても」。UQコミュニケーションズとしては、「一人暮らしの娘を心配する父親」をメインターゲットにしているのだろうが、そこには世の中の父親たちが娘に抱く“実現しない”願望が透けて見えるように思えたのである。

実際のところ、近年の父娘関係は以外に良好らしく、昨年発表された『父の日に関するアンケート調査』(サンセットコーポレーションが実施、『ダイヤモンド・オンライン』参照)によると「約6割が父と理解し合っている」と回答している。大学入学シーズンが近づき、初めての一人暮らしの準備をする若者も多いなか、受験に忙しくてインターネット接続について考える余裕もなく、また情報も乏しい(興味のない女性も多い?)娘に対して、父親がプロバイダー決定の主導権を握っていると読むUQコミュニケーションズのマーケティング戦略は、あながち間違ってはいないだろう。

だが、広告コピーの通り「娘に男性を近づけたくない」のなら、そもそも携帯電話に意識を向けたほうがいい。インターネットは人と人の関係性を効率化するツールだ。パソコンであれ携帯端末からであれ、インターネットに接続することで娘が見ず知らずの男性と接触する可能性は高まるわけだ。さらに、若い人ほどパソコンより携帯電話でインターネットに接続する傾向がある。「娘に男性を近づけたくない」父親が取るべき最も有効な戦略は、むしろ携帯電話も規制かもしれない。

つまり、現代において親が本当に娘を“箱入り”にして恋愛や婚約に口を出すには、一人暮らしをさせず、携帯電話もパソコンも持たせない以外に方法はないだろう。しかし、一家の大黒柱としての父親像が機能しなくなった今そんなことは不可能に近い。せめて、「父親が関わっても嫌われることがなさそうなプロバイダーの選択で娘を管理しましょう」というメッセージが、通勤途中の父親たちの“実現しない”願望をささやかに満たしているのが透けて見えるように思われるのである。

参考サイト
ダイヤモンド・オンライン
http://diamond.jp/articles/-/8279
gooリサーチ「メディア利用状況」に関する調査結果
http://research.goo.ne.jp/database/data/001210/

※この原稿はガジェット通信一芸記者「Kiichi Nakata」さんが執筆しました。
Kiichi Nakataさんプロフィール:
(立命館大学院博士課程在籍 専攻:歴史社会学、福祉社会学 大学院でセルフヘルプグループを研究対象にしており、ケアや支援という切り口からアーキテクチャの観察をするという独自の視点で研究を行っている。著書として「乱立するセルフヘルプグループの定義を巡って−可視性と想像性という観点から」『生存学3』がある。
 

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