徳間書店のSF専門誌〈SF Japan〉が、3月9日発売の2011年春号をもって休刊。11年の歴史に幕を引いた。

〈SF Japan〉は、1993年に休刊した〈SFアドベンチャー〉の後継SF誌として、2000年に創刊。年に2冊〜3冊程度のペースで合計26冊を発行、日本SF新人賞受賞者をはじめ、プロパーSF作家にとって貴重な短編の発表媒体として機能してきた。

 休刊号となった春号では、歴代SF新人賞(佳作含む)受賞作家ほぼ全員(照下土竜を除く20人)が新作短篇を寄稿。また、日本SF大賞特集では、第31回同賞(森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』と長山靖生『日本SF精神史』が受賞)の選評、森見登美彦インタビュー、長山靖生「戦後SFミッシングリンク」と、柴野拓美とともに同賞特別賞を受賞した故・浅倉久志の業績を語る追悼座談会が掲載されている。

 今後、恩田陸、篠田真由美、火浦功、古橋秀之、夢枕獏の連載は、加筆して単行本化、もしくは徳間書店の他誌に引き継がれるとのこと。

 もともと〈SF Japan〉は、日本SF新人賞(日本SF作家クラブ主催、徳間書店後援)が1999年にはじまったのを機に、同賞受賞作家の受け皿という性格も持ちつつ誕生した雑誌だけに、同賞の休止(2009年の第11回が最後)とともに休刊するのも致し方ないところだろうか。

 いわゆる"日本SF冬の時代"の始まりが1992年の〈SFアドベンチャー〉季刊化(および93年の休刊)だったとすれば、雪どけを告げたのは日本SF新人賞と小松左京賞の創設だった。その二つの新人賞が相次いで休止し、今度は〈SF Japan〉まで休刊したとなると、"冬の時代"の再来を憂う声も出そうだが、当時と今とでは状況が違う。日本SF新人賞からデビューし、〈SF Japan〉に書いていた作家たちも、『ダイナミックフィギュア』の三島浩司や『光を忘れた星で』の八杉将司など、新天地で活躍しはじめている。〈SF Japan〉が撒いた種が大きな花を開かせる日を楽しみにしたい。

(大森望)







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