児童養護施設の子どもは、施設を出てからイバラの道がはじまる

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『岩手日報』(3月2日付)によると、児童養護施設の子どもを退所後に受け入れる施設「自立援助ホーム『ステップ』」が、盛岡市に開所した。高卒まで児童養護施設で世話になった筆者としては、このような施設が全国各地にできることを切望する。

日本の子どもの総数からいえば、児童養護施設(以下、施設)の子どもは少数なので、その実態はあまり知られていない。施設には、親がいない子や事情があって親に育ててもらえない子が入所している。子どもらは、国や県など自治体の支援を受けながら、中卒か高卒までそこで暮らす。

入所中の子どもが直面する大きな試練は、中卒にしろ高卒にしろ、就職が決まったら基本的には施設を退所させられることである。親が子どもを引きとる場所や財力を持っていれば、そこにいけばいい。だが、なかなかそうはいかない。親になんらかの問題があり、施設に入っている子どもがほとんどなのだから。

親が引きとれなかったり、引きとる親が死亡するなどしていなければ、施設を出てからは自活するか、寮のある会社に就職するという選択肢しか子どもに残されない。中卒や高卒でいきなり自活するのは困難なことを考えると、実質的には後者の選択肢しかない、ともいえる。

もう30年くらい前になるが、筆者の場合は親兄弟がいないので、高卒で就職した先は寮のある会社だった。というか、就職先を選ぶ最大の前提が“寮のある会社”であり、次の前提が“安定した会社”というものであった。

身内がいない状態で、“子ども”から“社会人”にステップアップするのは、なかなか大変なことだ。何かあっても、バックアップしてくれる人はいない。社会に出ても、相談にのってくれる人など、すぐにはつくれない。そうなれば孤立してしまい、不安な日々を送ることになる。

『ステップ』は、まさに施設を出たばかりの社会人を支援してくれそうな場所である。運転資金の調達が大変そうだが、継続して運営されることを期待する。ちなみに、東京・文京区にも『日向ぼっこ』というNPOがある。こちらは入所設備がないものの、施設出身者たちが気軽に立ち寄ったり交流できる場所を提供している。

(谷川 茂)


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