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東京タワーのすぐそば、地下鉄大門駅からほど近い港区・芝の増上寺は、江戸時代、徳川将軍家の菩提寺だった浄土宗の大きな寺院。その蔵の中に眠っていた、幕末の絵師・狩野一信(1816〜63)による「五百羅漢図」をお披露目する展覧会が3月15日(火)〜5月29日(日)、江戸東京博物館で開催される。

狩野一信は15世紀から19世紀まで約400年続いた狩野派盛期の最後を飾った異色の存在。羅漢図は十六羅漢図、十八羅漢図、あるいは単体の羅漢や釈迦とともに描かれたものが知られているが、一信はそういった過去の作例を学習しつつ、1幅に5人ずつ、計500人の羅漢を描く空前絶後の100幅を構想したのだ。結果、100幅の制作は10年にわたり、一信は残り4幅の完成間近、数え年48歳で没する。力尽きるまでにびっしりと描かれた濃密な画からは強烈な宗教的情熱が感じられ、恐ろしく圧倒的だ。

その後弟子らにより完成された大作「五百羅漢図」(各172×85cm)全100幅を今回一挙初公開するほか、成田山新勝寺が所蔵する超大作「釈迦文殊普賢四天王十大弟子図」(427×543cm)、「十六羅漢図」が特別出品されるなど、見どころの多い内容となっている。

今年2011年は、浄土宗の開祖・法然上人の八百年御忌。浄土宗の大本山である浄土宗にとって記念すべき年の春、150年の時を経て「五百羅漢図」が甦るこの機会をお見逃しなく。


法然上人八百年御忌奉賛 特別展「五百羅漢-増上寺秘蔵の仏画 幕末の絵師 狩野一信」
会期:2011年3月15日(火)〜5月29日(日)
会場:江戸東京博物館 1階展示室
時間:9:30〜17:30(土曜日のみ19:30まで)入館は閉館の30分前まで
休館日:毎週月曜日(ただし3月21日は開館、3月22日が休館。5月2・16日は開館予定)
※トン子ちゃんも登場する「羅漢応援団」webサイトはこちら


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