スマフォはAndroid一人勝ちへ!iPhoneデモが消えたMWC2011【世界のモバイル】
世界最大規模のモバイル関連展示会、Mobile World Congress 2011(MWC2011)が2月14日から18日の間、今年もスペインのバルセロナで開催された。世界中の主要メーカー、事業者、コンテンツプロバイダやアプリケーション開発企業までキーとなる企業が集まるだけに、今年1年の業界全体の方向性を見ることのできる展示会でもある。

今年のMWC2011は右も左もAndroid一色で、Googleも初めてブース出展したほどだ。会場内でデモされるサービスやアプリケーションはたいていがAndroid上で動くものであり、NokiaはまだしもiPhoneを使ったデモすらほとんど無いほどであった。

Androidはスマートフォンのシェアでトップに立ち、これから他のスマートフォンOSとの差を多きく広げていくだろうが、業界としてもその方向性を睨んだ動きになっているのだろう。
Androidの存在感が目立つMobile World Congress 2011会場

またAndroidを手がけるメーカーにも元気があった。中でもHTCは、自社では初となる6機種を一度の展示会で発表。ハイエンド、小型端末、タブレット、Facebook端末とバリエーションも広い。SamsungとLGの韓国勢もスマートフォンとタブレットを発表するなど、先月アメリカで開催されたCESで発表された各社の新機種のイメージが薄れてしまうほどだ。

大手メーカー各社の製品は既存モデルのブラッシュアップだけではなく、ビジネスソリューションへの対応としてセキュリティー関係の強化を行ったり、ゲームや電子書籍の配信を直接コンテンツプロバイダーと契約し、端末を買えばすぐにコンテンツを利用できるようにするなど「使いやすさ」や「安全性」をより考慮した製品になっている。

これはすなわちスマートフォンはもはやコンシューマーが普通に買う製品になり、メーカーの設計思想がスペック競争よりも使い勝手に変化しているということなのだろう。
一度に6機種もの新製品を発表したHTC

そしてインフラベンダーとしても世界シェアを奪いつつある中国勢のHuawei、ZTEの展示もスマートフォンがメインであり、途上国向けのエントリーモデルの展示は無かった。両社の端末の大半は通信事業者向けのOEM品だが、事業者にとっても自社ブランドの安価なスマートフォンを販売できればデータ通信収益の増加に結びつく。

すなわち通信事業者の要求に応える格好でスマートフォン製品も増やしているのである。加えて両社のスマートフォンは昨年までは大手メーカーの隙間を狙ったエントリーレベルのものが多かったが、今回の展示ではハイエンドモデルも展示。今後大手メーカー品と市場で真っ向から勝負するレベルの製品も開発されている。
ZTEのハイエンド端末、Skate 4.3

一方、Samsungは携帯電話機能をなくしたGalaxy S WiFiも発表している。メディアプレーヤーかつWi-Fiによるネットアクセスを持つ端末で、スマートフォンを買わない消費者にAndroid製品を提供し、アプリケーションの購入などに結び付けたいのだろう。

HTCのFacebook端末やSony Ericssonのゲームに特化した新製品、Xperia Payのように、今後は専用端末のベースOSもAndroidの採用が広がっていくようだ。一昨年前にBrew OSによる「Facebook携帯」を出したiNQも、今回参考展示していた次のモデルはAndroid端末だった。
専用端末のiNQ。このようなメーカーまでもがAndroidスマートフォンを手がけている

このようにMWC2011では様々なAndroid製品が展示されており、今年はAndroidの普及が一気に進む年となることが示唆されたかのようだ。もちろん全世界の市場を見れば、まだまだ今後も主力となるのはフィーチャーフォンや一般的な携帯電話であろう。スマートフォンが全ての携帯電話を置き換えるようになるには、まだ数年はかかりそうだ。

だがこれだけ多くのメーカーがAndroidスマートフォンを手がけるとなれば、中国メーカーのように低価格のAndroid端末を市場に投入しそれを事業者が無料で提供する動きも進むだろう。デザインの良いスマートフォンなら、これまではファッショナブルな携帯電話を使っていた女性層などからも受けるはずだ。

今までスマートフォンを使おうとは考えていなかった消費者が買いたくなる、欲しくなる、手が届く、そういった製品が増えてくればスマートフォンの普及率は予想よりも急激に進むかもしれない。いずれにせよ、今年のスマートフォン市場はAndroid製品が昨年以上に勢いを増し、大量の製品ラッシュになることは間違いないだろう。

山根康宏
著者サイト「山根康宏WEBサイト」

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