「関取なのにキャバレー社長だった」ハチャメチャ力士・元栃桜が角界に喝!

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「俺がもし相撲協会の理事長だったら、今すぐ腹かっさばいて責任とってるよ!」

 自ら経営する都内の飲食店でそう吼えるのは、自らの力士時代のエピソードを記した『どっこい人生』を上梓した、元関取の栃桜こと高橋満矢氏。昨今の八百長騒動について問うと、冒頭の言葉が返ってきた。

 高橋氏の相撲の師匠は、初代若乃花と共に「栃若時代」を築いた昭和の名横綱・栃錦。昭和30年代、山形に地方巡業でやってきた栃錦に「5,000円でスカウト」(高橋氏)され、初土俵を踏んだのは14歳。かの大横綱・北の湖にして「栃桜さんのハチャメチャぶりは、どの力士もかなわなかった」と言わしめるほど、その土俵生活は破天荒だった。

 稽古中には先輩力士をぶん殴り、軍配に不服があれば行司を土俵下まで追っかけまわし、弓取式で弓をへし折り、博打や女遊び、侠客との交際も堂々と行い、さらには現役力士でありながら、隠れてキャバレーの社長になるなど、あの朝青龍がかわいく思えるほどの華麗な(?)経歴。事実、朝青龍がガッツポーズをして物議を醸す何十年も前に、観客に笑顔で手を振って厳重注意を受けていたのも高橋氏なのである。

 それにしても、キャバレーの社長とはいったいどういうこと?

「当時のタニマチに"ピンク界のドン"と呼ばれてる人がいて、その人が経営するキャバレー10店舗の名義貸しをしてたんだよ。名ばかり社長だな。名義料は1店舗で月7〜8万。合わせると月に100万近くはもらってた。当時、十両の月給が8万円。横綱より高給取りだったんじゃないか(笑)。もう時効だから言うけどさ」

 時効かどうかはさておき、「名ばかり社長」とはいっても店で問題が起これば新宿署や池袋署へ呼び出され、羽織袴とちょんまげで始末書を書くといったことも。27歳で引退後は新宿歌舞伎町でちゃんこ鍋屋やクラブなどを経営。一方で侠客の大親分の付き人をしたり、NHK大河ドラマへも力士役で出演し、CDデビューも果たしたりと、「人に迷惑をかけることなく」(高橋氏)、自由気儘に生きてきた。

 そんな高橋氏による冒頭の"割腹発言"。その裏には相撲界に対する氏の深い愛情が込められている。

「山形から出てきた自分を育ててくれた相撲界を、俺は昔も今もずっと愛しているんだよ。相撲ってのは、他の国には類をみない、深い歴史ある日本の文化なんだ。『どっこい人生』にも書いたけど、どうしてあんな場所で、あんな格好でやるのかなど、一つひとつに神聖な意味があるし、それを分かっていれば、力士は不祥事なんて起こせないはず。俺も独学で勉強したくらいで、相撲界には、教習所にも部屋にも、それを教えられる人間がいなんだよ。今は国じゅうが寄ってたかって相撲を潰そうとしているように見えるけど、本当にそれでいいのかと言いたい。俺が理事長だったら腹を切ってさ、『これからの相撲界を見てくれ!』って国民に心から詫びるよ。そこまでやれば、もう一度チャンスをやろうって思ってくれるだろ。そうやって先頭きって責任とる人間が、今の相撲協会いないんじゃないのかね」

 まさに、凄まじいまでの相撲愛。しかし、腹を切る覚悟というのは本気の本気?

「あたりまえだろ。相撲協会が5億円くらいくれたらだけどな」

 あ、金取るんですか?

「だって協会は内部留保で何十億円も金があるんだろ? それで問題が解決するなら、安いもんだよ。はっはっはっ(笑)」

 どこまで本気でどこから冗談か、いまいち不明な元栃桜こと高橋氏。最後に、不景気で元気のない日本社会へ向けてエールを送ってもらった。

「相撲には"どすこい""どっこい"って言葉があるけどさ。俺はこの"どっこい"って言葉が好きなんだ。語源は独鈷杵(どっこしょ=悪魔退治のための仏具)って説があるけど、要は気合いを入れて体や周囲の邪気を払うわけだな。そうやって、自分の人生に気合を入れてさ、煩悩を振り払って生きていきたいよね。とにかく、自分で何かを起こせってこと! 誰かがしてくれるのを待ってたらだめ。どうせ人間いつかは死ぬんだからさ。死に際に後悔しないように、やりたいことを思い切りやればいいと思うよ」