“中二”社会の驚くべき実態

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 ネットスラングで「中二病」という言葉がある。これは、中学二年生の頃の少年少女にありがちな言動傾向を揶揄したもので、オンラインフリー百科辞典「Wikipedia」を見ると以下のような症例が述べられている。

以下は『オタク用語の基礎知識』内の中二病の項目内で紹介されている症例の一部である。
・洋楽を聞き始める。
・うまくもないコーヒーを飲み始める。
・売れたバンドを「売れる前から知っている」とムキになる。
・やればできると思っている。
・母親に対して激昂して「プライバシーを尊重してくれ」などと言い出す。
・社会の勉強をある程度して、歴史に詳しくなると「アメリカって汚いよな」と急に言い出す。

(オンラインフリー百科辞典「Wikipedia」より 2011年2月24日確認)

 社会学者の本田由紀さんは、中学二年生とは、「自我」や自己主張が芽生える時期であり、しかも幼さも残る、とても複雑で動態的に変わっていく年齢層であると指摘する。
 そんな本田さんが執筆した『学校の「空気」』(岩波書店/刊)は現代の中学二年生の実態を、神奈川県内の公立中学校2年生2874名に対する調査の結果から導き出す一冊だ。

■グループ形成:男子は大規模、女子は小規模
 現代の中学二年生の学校生活において、極めて重要なのが「友だち」の存在だ。
 かつて社会学者の宮台真司さんは、若者文化の1つの特徴として「島宇宙」化をあげた。これは、クラス内で固定的なグループ内の友だちとつきあう傾向の強まりをさす言葉だが、本田さんたちの調査でも、男子の7割以上、そして女子の約9割は「一緒に行動する友だちが決まっている」と答えており、その傾向は現在でも変わっていない。
 しかし、ここで注目すべきは、その男女差だ。「一緒に行動する友だち」の人数について、男子の半数は10人以上いると答えたのに対し、女子はだいたい4分の1となっている。さらに、女子の5割以上が6人以下と答えており、「島宇宙」は男子が大規模であるのに対し、女子は小規模に形成されていることがわかる。

■クラス内序列:文化系の部活は「高位」につきにくい?
 また、彼らが形成するグループの間には序列が存在する。クラス内の序列は「高位」「中位」「低位」「いじられ」と分けられ、ほぼ前述の序列順に「10:60:25:5」という比率になる。
 「高位」に来るグループの特徴は、クラス内に友だちが多く、かつ一緒に行動する友だちが決まっていることなどがあげられる。また、文化部に所属していると「高位」にはややなりにくい傾向があることもあるという。本田さんはこれらの傾向を見て、大勢で徒党を組んで行動し、その中で自発的で主体的な思考や行動を示すとともに成績もわりとよいような中学生が高い「地位」につきやすくなると指摘する。

 こうしたクラス内の友だち関係のあり方は、学校の楽しさや、さらに自分の生活そのものへの充実度に影響する。その中で中学二年生たちは、自らを「キャラ化」するなどし、その状況を切り抜けようとしている。

 おそらくこうした中学二年生の中に生まれている社会は、大人たちが考える以上に彼らの行動や言動に影響を与えているだろう。むしろ、それが自分自身を決定付ける「全て」といっても過言ではないようにさえ感じる。
 逆に言えば、こうした中学二年生たちの間に存在する社会の構造を、教師や保護者などがしっかりと認識することが、問題とされているいじめや不良行為の防止や抑止への第一歩になるのかも知れない。
(新刊JP編集部/金井元貴)

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