人生で成功するために重要なのは勤勉さ?それとも幸運やコネ?

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 「人生での成功を決めるには、勤勉が重要か、それとも幸運やコネが重要か」
 世界価値観調査にそんな質問項目があるのだが、この質問に対する日本人たちの回答にある変化が見られている。
 勤勉さよりも運・コネが大事だと考える日本人の比率は、 1990年は25.2%、1995年は20.3%だったのに対し、2005年は41.0%と、10年前の約2倍に膨れあがっているのだ。

 どうしてわずか10年で大きく変化をしてしまったのか。
 それを紐解く1つの研究が米国カリフォルニア大学のギウリアーノ教授とIMFのスピリンバーゴ氏によって行われている。彼らはアメリカのデータを使って、若い頃の不況経験が、価値観にどのように影響を与えるかを実証したのだ。
 その結果、具体的には18歳から25歳の頃、つまり高校や大学を卒業してからしばらくの間に不況を経験するかがその価値観に影響を与えることが分かった。
 日本でいえば、バブル景気が崩壊し、平成不況が始まったのが1991年頃であるとされているから、だいたい40歳以下の人たちは、その上の世代に比べて勤勉さより幸運やコネが重要だと答える人が多いということになる。そして、この世代は同時に、政府による再配分を支持するが、公的な機関に対する信頼をもたない傾向があるという。

 「新書大賞2011」で第4位にランクインした『競争と公平感』(大竹文雄/著、中央公論新社/刊)は、様々なデータを使いながら、日本人が市場競争に否定的になる理由や、どういうときに公平さを感じるのかについて論じる一冊だ。経済学を駆使しつつも、新書らしく軽快に日本人の間に起こっている現象を教えてくれる。

 わりと堅めの内容の中で箸休め的に用意されているコラムも面白い。
 例えば、小学生の頃、最終日付近になってから宿題をやっていた人は、中毒財(たばこ、ギャンブル、お酒など)に要注意だ。もともと後回し行動をとってしまうタイプの人は、中毒財から抜け出すことは難しいというデータが出ている。また借金にも注意すべきであるという。

 新書大賞で第4位にランクインするだけあり、経済学の最先端が詰まっている。市場経済や社会制度について考えるためのきっかけにしたい。
(新刊JP編集部/金井元貴)

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