【インタビュー】「部落」「在日」「パチンコ」……タブーにも切り込む『ニコ生トークセッション』とは?

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2月7日『ニコニコ生放送』にて『ニコ生トークセッション「メディアが報じないパチンコ業界の闇」』が放送された。 ニコニコ動画管理人でもある、ひろゆき氏がホストとなり、ジャーナリストの若宮健氏を迎え著書『なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか?』から、テレビや新聞では語られないパチンコ業界にまつわるタブーに触れ、放送中にはパチンコの依存性の高さや北朝鮮との関係、更にはパチンコ業界に関わる現役政治家の名が実名で読み上げられなど刺激的な内容となった。 今回はニコ生トークセッションのプロデューサーである小島健太郎氏にインタビューを行い、本放送について、また『ニコ生トークセッション』など、いわゆる"言論系"生放送についてお答え頂いた。

−まずは経歴を教えて下さい。
元々はドワンゴのプロモーションチームだったんですが、ニコニコ大会議が始まってニコ動で初めての全国ツアーに齋藤Pさんと一緒にディレクターとして帯同しました。 そんな中、政治番組や書店のトークイベント中継の人気も高まり、社会・文化系のコンテンツを作ろうということになって。 社内では政治などもひっくるめて"言論系"という言い方をしているのですが、討論とかトークショーとか検証番組を本格的にやっていきましょう、じゃあ社内で誰か出来ないかな?ってことで、僕がその候補の一人となって動き始めたのきっかけですね。

−『ニコ生トークセッション』はどのようにして生まれたのですか?
何回くらいだろ? (生まれたのは)去年の4月か5月くらいから。 『ニコ生トークセッション』という名前はそんなに考えて作った訳じゃないですが最初はひろゆきさんの力を借りて、ひろゆきさんと誰かの対談ものを、というイメージでした。 色々な分野からゲストを呼んで、具体的には小林よしのりさんとか。 ただ、お金を出来るだけ安くやろうと思って、出版社の新刊紹介を兼ねた番組にして著者を出そう、新書のプロモーションとのバーターでやれば安くできるかな、と。 ただ宣伝だけになっては面白くないので、しっかりテーマを選んでやっています。

−今回のパチンコもですが、以前にもネット右翼であったり、若者ホームレスやブラック企業・ヤクザ・部落・六本木の闇など、結構危ない橋(テーマ)を渡っているようにも見えるのですが……、大丈夫ですか?
やる前は半分面白がってやっているところもあるんですよね。 ニコ動だからできることってなんだろう、テレビじゃやれないことってなんだろうと。 『ニコニコ生放送』って嘘がつけないコンテンツじゃないですか。 「やりましょう」とテーマを決めてやるんですが、特にネット右翼とかはクレームがくるんじゃないか?とかヤクザ(というテーマ)だったらヤクザがくるんじゃないか?とかね。 正直びびりながらやっていて、実は本番中は手に汗をかきながらやっています。

−今回のパチンコでは、見ている僕らですらハラハラするくらいでした。 反応はどうでしたか?
(インタビューは放送の翌日に行われた)まだ1日なので分かんないですが、コメントやメールでは批判が来ていますよ。ただどんな番組でもクレームはあります。 また今回のパチンコの件では物語がありまして、・・・・・・助田君。

と、ここで小島氏に同行していたドワンゴ助田氏にバトンタッチ。 氏は今回の放送の立役者でもある。


助田氏(以下、助):もともと某局でニュース番組を制作していて、そこの特集枠を担当していたんですが、色々な社会問題に切り込むビデオを作っていたんです。 元々僕は「テレビじゃできないことをテレビでやりたい」と、やっちゃいけないことばっかりやっていたんですが(笑)、ちょうど昨年末くらいに「なんでみんなパチンコを批判しないのだろう?」と疑問が起こり、それをきっかけに取材を進めていくと、どんどん闇がでてくる。 そこでリサーチを進めて企画会議で提案したらゴーサインを貰った。 それから一ヶ月は取材を進めVTRも作って。 じゃあ専門家に取材もしよう、といった時に……プロデューサーから連絡があり「来週の(パチンコをテーマにした)放送はなし」と。

−なんでですか?
−助:「察してくれ」と言われました(笑) それで「察しないと察しないと」と頑張ったんですが、まぁ我慢が出来なくて、ちょうど同時進行でニコ動の制作にも協力していたこともあって、小島さんに話をもちかけたところ「やりましょう!」と。 快諾されてビックリしましたが、放送が始まるまで、またいつ「察してくれ」と言われるかビクビクしていました。

−助田さんありがとうございました。 また小島さんへ質問なのですが放送のスタンスを教えてください。
あくまで報道的なスタンスでやっています。 事実と違うことで人を傷つけたら駄目じゃないですか。 ですので事実関係の裏付けが大事。 ウラがとれないと言わないし、ウラがとれなくても著者が「どうしても(言いたい)」と言うのであれば、著者の責任で発言してもらっています。

−番組中、ひろゆきさんからは「パチンコをやるやつは馬鹿」と言った発言で盛り上がりましたが、手応えを教えてください。
昨日(の反響)は普段のメールの3倍以上きましたし、番組の予約数だけで7700件になりました。 ひろゆき君の「馬鹿だ」という意見には反応があったので、(メールで寄せられた批判を)またぶつけてみたら、ひろゆき君も返してくれて盛り上がりましたね。

−あのメールを紹介する判断は小島さんの判断ですか?
あれ(メールの選定は)大変で……。 話(番組)が進んでいる間に選ぶんですが、専用のスタッフとかいないですし何を選ぶかでノリが変わるんですよ。 テレビなら上手くまとめる方、無難な方を選ぶと思うんですが、最近は僕はあえてネットでしか聞けないような「それ選ぶか」っていうのを選ぶようにしています。 お陰で最近は「運営鬼畜」とか書かれています(笑)

−『ニコニコ生放送』の言論系について教えて下さい。
討論ものって、ひろゆきさんや荻上チキさんがホストを務める『ニコ生トークセッション』の他にも、『ニコ生ノンフィクション論』、『ニコ生シノドス』、『ニコ生プラネッツ』などのレギュラーがあります。 また他にも『ニコ生就活論』というのやります。 ホストによって見せ方は変わるんですが、ひろゆきさんはコメントも拾うし運コメも打っちゃう。 運コメを打てるホストはひろゆきさんしかいない。 荻上さんはTwitterのコメントをひろったりするのが上手いですね。 ……個人的には、大学院で政治思想をやっていたので(言論系は)好きだったんですが、ニコ動に入った頃にはそういったものはなかったですし、そういったことは出来ないと思っていたんです。 ただ今はビデオニュースドットコムさんとかネットメディアが色々とあるじゃないですか。 なのでデバイスとしては可能になったかな?と。 オフィシャル(会社として)は政治を重要なコンテンツとして考えていて、政治以外のシンポジウムの中継とかそういったものにもニーズがあると判断したんじゃないかと思います。

−過去のクレーム話をお聞かせ下さい。
企業からのクレームは無いんですよ。 これは、まだ(クレームが)無いくらいの影響力しかないという見方と、クレームをつけるとネタにされるという思いが相手にあるのかも。 また(ニコニコ動画は)オープンにコメント・メッセージを主張出来るプラットフォームであるのも要因かもしれません。 ネット右翼の時も、ネット右翼の総攻撃を受けたんですが、でもそういう場だとして、もしコメントが書けなくて一方的に(放送を)やっていたら、メール(や電話)をするとかになってクレームも多かったと思います。 リアルタイムで書けるから、そこで意見を言えるから強いんじゃないかと。 (生放送は)だだ漏れだから、ノー編集だから切りようがない。 (だから)出演者にも不満がない、見ている方もコメントが書けるから不満が少ない。

−ユーザーからはあるんですか?
ユーザーはありますね。 ヤクザとかは(ユーザーが)面白がるので少ないですが、議論になるテーマ・少し政治的立場が分かれるようなテーマ(部落・ネットビジネス・在日)とかは当然来ます。 そこは気を遣って(放送中に)拾うようにしています。

−クレームのエピソードを教えて下さい。
いつ書いたんだ?ってくらい物凄い長文が来たり(笑)。 もし出来れば短めに書いて頂けると(放送中に)読み易いかな、と。 長いのは正直あんま紹介し難いです。

−番組をいろんなジャンルでやっていますが、そこで伝えたいもの見せたいものとは?
『シノドス』ならアカデミックジャーナリズムで、社会科学とか学術系の知見を元に語るっていうスタイル、『プラネッツ』なら詳論・サブカル、トーク(がメイン)なら『トークセッション』ですね。

−根底に「これを伝えたい」みたいなものはあるんですか?
統一しているかどうか分からないんですが、個別で言えばテレビじゃできないこと、本で読むよりも面白いものにはしたいと思っています。 全部がタブーに挑戦したい、ってわけではないです。 ニコ動なりに深く掘り下げるってことはしたいですね。

−ユーザーの知識には幅があると思うのですが、どのレベルを対象にして考えているんですか?
基本は分かりやすく、番組によってはハードに突っ込むのもありますが、基本的には10代・20代が半数なので、基本的な知識を前提にして徐々にハードにしていく。 あとはコメントを見ながら、ユーザーが置いてけぼりにならないようにその場その場で軌道修正しています。 ライブと同じだから、コメントによって変化しないと、いくらこちらが準備してもどっちにいっても駄目なんで。そこはコメントを見て変えています。

−今後扱いたいテーマは?
本当にいっぱいあって、女性向けなテーマなんかもやりたいですね。 ファッションの討論とか。 他には就職活動みたいな大学生をメインにしたものや、放送大学みたいなお勉強ものなんかも。 ガチンコの討論、例えばタバコの討論なんかも。 テレビじゃできないシリーズは必ずやりたい。

−ユーザーに直接いいたいことは?
60年代には論壇(知識人が公共で話し合う場所)っていうシーンがあった。 そこで皆がやりあって、結果政治を動かしたりがあった。 それをネットで再現したいな、と。 なので皆でその内容を生放送したりコメントで言い合ったり議論して欲しい。 そんな場所としてニコ生トークセッションを使って欲しいなと思ってます。 (ニコ生トークセッションは)コンテンツとしてパッケージで閉じているもんじゃないよ、場としても有効活用して欲しいと思っています。

−ひろゆきさんに一言ありますか?
遅刻しないで下さい(笑) ……でもね、ひろゆきさんに関しては一つ話があって。 出演者がみんなひろゆきさんの頭の回転の早さに驚くんです。 みんな知識人・文化人なのでいろんな番組とかに出ている方達なのに、理解力の早さとかには、みんな驚く。(以前に『ニコ生トークセッション』で扱った)サンデルの本とかめっちゃ難しいんですよ。 でも番組だととても分かりやすかったですよね。 ひろゆき君は「努力しています」とか言わないけど、本も読んでくるしポイントも押さえてくる、勉強していますよ。 これってちょっと良い話じゃないですか?(笑)

−では最後に、何か発表できることはありますか?
まだまだな話なのですが、過去の放送をまとめてみられるような物を現在検討中です。 またパチンコ番組は大好評だったので、第2弾を企画中です。

−ありがとうございました!

ニコ生トークセッションでは今後も様々なテーマでの放送を予定している。 プレミアム会員であればタイムシフトで放送後1週間はみることが可能ではあるが、見逃すことのないよう、小まめなチェックをオススメしたい。

2月21日放送予定:ニコ生×映画芸術「日本映画アカデミー賞を斬る!」
http://live.nicovideo.jp/watch/lv40803099


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