2月16日、フランスの映画監督ミシェル・ゴンドリーが、フィリップ・K・ディックの代表作『ユービック』の映画化プロジェクトに携わっていることを明らかにした。

 ディック作品(とくに短編)はハリウッドでの人気が高く、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(「ブレードランナー」 1982)を皮切りに、「追憶売ります」(「トータル・リコール」1990)、「変種第二号」(「スクリーマーズ」1995)、「にせもの」(「クローン」2001)、「少数報告」(「マイノリティ・リポート」2002)、「報酬」(「ペイチェック 消された記憶」2003)、『暗闇のスキャナー』(「スキャナー・ダークリー」2006)、「ゴールデン・マン」(「NEXT ネクスト」2007)──と次々に映画化。今年も、短編「調整班」を原作とするマット・デイモン主演の映画「アジャストメント」の公開が予定されている。

『ユービック』は、数あるPKD長編の中でもエンターテインメントとしての完成度がもっとも高く、これまでに何度も映画化が検討されてきた作品。最初にジャン=ピエール・ゴラン監督が持ちかけた企画では、ディック自身がシナリオを書き、著者の死後、それが単行本化されているほど(邦訳『ユービック:スクリーンプレイ』ハヤカワ文庫SF)。最近では、日本映画界とも縁の深いセルロイド・ドリームズが2008年に映画化権を取得したものの、消息が途絶えていた。

 今回の企画の詳細はまだ明らかになっていないが、制作母体は、脚本家のスティーヴ・ザイリアンが設立したフィルム・ライツ社。
 ゴンドリーといえば、チャーリー・カウフマンのオリジナル脚本を映画化した「ヒューマン・ネイチュア」「エターナル・サンシャイン」でディック的なテーマのSFにも挑んでいる監督だから、まずまず納得できる人選だろう。
 まわりのものすべてがみるみる古くなってゆく時間退行現象(及びそれを止めるユービック・スプレー)をぜひともかっこよく映像化してほしい。

(大森望)







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