レイモン・ドメネク前フランス代表監督のインタビューを掲載したレクスプレス誌が発売された16日、インタビューの中で槍玉に挙げられた当事者たちがさっそく“反撃”を行なった。

 まずは、ドメネク氏が98年優勝メンバーについて「テレビの解説者、結構な仕事だね。彼らが(サッカーそのものについてでなく)モラルを語って教訓を垂れたがるなんて、言うことなしだね」と皮肉たっぷりに言い放ったのに対し、98年組で現解説者、クリストフ・デュガリ氏が噛み付いた。

 デュガリ氏は「僕らが彼のモラルに対して攻撃したと言うが、そんなこと一切なかった。僕らはつねにサッカーのことだけを語ろうとした。僕が知りたかったのは、なぜ2008年以降フランスは3つ以上パスをつなげなくかったのか、なぜ代表に来ると選手の調子が下がるのか、そういうことだ」と語り、「相変わらず理解に苦しむ。レイモン・ドメネクは永遠の謎」と不快感をあらわにした(レキップ紙)。

 続いては、練習ボイコットの後、南ア入りして選手たちとの会合を行なった当時のスポーツ大臣、ロズリーヌ・バシュロ氏(女性)。のちにチームを「幼稚な番長たちとそれに怯える子供たち」と表現したが、ドメネク前監督は「私はワクチンについて意見したことはない(註:バシュロ大臣が厚相も兼任していたため)。専門外のことには口をつぐむべきだ」と語った。

 さらには、「彼女はチームの連帯を強めるためと称したのはいいが、選手たちの会合にスタッフは席を外せと来た。母として選手に語りかけたんだそうだ。選手たちが涙を流したと彼女が言った? おそらく涙が出るほど笑ったんだろう」とこのインタビューでいちばん痛烈な言葉を発した。

 バシュロ元大臣はこれを受け、「たしかなのは、この大会の間、レイモン・ドメネクの仕事には誰ひとり笑わなかったということです。それどころか何百万人のサポーターたちを泣かせたのです。あとは、私が選手たちと話をした部屋に、彼が居合わせなかった、ということだけ言っておくにとどめます」とかなり気分を害している(AFP)。

 最後は、「無自覚なガキの集団」と形容された選手たちの先陣を切って、ウィリアム・ギャラス(トッテナム)。

 「彼の批判に応じるつもりはないよ。ただひとつ言わせてもらうなら、しゃべる前にちょっとは自分を振り返るべき、それだけだ。選手を非難するのは簡単。でも彼の指揮の下、選手たちがほんとうに辛かったことだけは断言できる。たしかに練習ボイコットの決定を下したのは僕らだ。しかしなぜ? その理由をよく考えてみるべきだ。僕がその答えを出すべきじゃないが、ひとつ言えるのは、僕たちは幼稚なガキなんかじゃないということだ」(AFP)。

 インタビューの中で、「私は挑発者なんかじゃない。どんな論争も望まない」と語っていたドメネク氏だが、どうやらその言動はつねに正反対の結果を招くようだ。