フランスでは、柔道を筆頭に、空手や合気道、剣道といった日本の武道の人気が高い。武道に関するフランス人のブログ「Dojo Ninjutsu Bujinkan Ecole militaire」では、フランスでもこれらの武道を習得しようとしている人たちの間で「先輩・後輩」という日本文化の考え方が浸透しつつあると紹介している。

 上下関係が日本ほど厳格でないフランスでは、これらの武道を習得する場合、以前は技などの向上ばかりに重点が置かれていた。しかし、本場の日本式の教育を取り入れることにより、個人主義のフランスの道場でも、集団主義の日本文化の影響を受け始めていると述べている。

 先輩と後輩という考え方は、こうして入ってきた日本の文化の一つだと説明。上下関係を形成し、集団生活をして所属する組織や団体の内部をより緊密にするものと述べている。

 先輩については、後輩の模範となるべき存在で、道場や団体組織の中で年齢が上であることが多い。そして、後輩は先輩に言われたことに従い、また敬意をこめた話し方の「敬語」を使って話す。そして、日本ではこの上下関係は、人間関係の種類の一つであり、これは誰かが取り入れているのではなく、普遍的に存在していると説明する。

 個人主義の欧米では、このような上下関係は否定的に考えられることもあるが、筆者は好意的にとらえている。例として、もし道場の指導者に対して「同等」という考えがあった場合、最終的には生徒は指導者の言うことを聞かなくなるとし、上下関係を大切にすることでけじめのある指導が成立しているのではないかと意見を記している。

 また日本の上下関係は、身分が違えば、話し合いをする機会がほぼなくなる階級制度との異なり、上の立場にある先輩は、後輩に対してオープンな存在で、後輩と先輩が会話する機会も多いと伝えている。先輩は、自分自身が属しているグループの中での情熱を、後輩と分かち合い、これを伝えていくという役割も持つと述べている。

 日本の武術を習得の上での長所も多く持った、先輩・後輩の概念を学ぶことは、技術向上においても効果的だと考えている様子が伝わってくる。(編集担当:山下千名美・山口幸治)



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