英国の1月の消費者物価指数が発表されました。+4.0%でした。

英国はいわゆるインフレ・ターゲット制度を導入しており、現在のターゲットは+2.0%です。

つまり現在の英国のインフレはターゲットの2倍もはずれてしまっているわけです。

イギリスはそろそろ量的緩和政策を終わらせるべき時期にきています。

これをうまく終わらせることができるかどうか?という問題については、結構困難が伴うと予想されます。

イギリスはいろんな点でアメリカと共通している部分が多いです。

大胆な量的緩和政策を採用したという面でも共通しているし、通貨安で輸出競争力を取り戻そうという作戦も似ています。

また金融サービスなどを中心とした経済の構造にも共通点があります。

ただイギリスの方が経済がずっと小さいので基軸通貨を有するアメリカと違い、際限なく自国通貨を割安に導く政策をイギリスはとることはできません。

ある時点で財政規律を取り戻さなければいけないのです。そのタイミングはアメリカより早く来ます。

ある意味、今日イギリスで起こっていることは後でアメリカでも起こると考えられなくもないのです。

イギリスはリーマン・ショック以降、経済の落ち込みを防ぐために早い段階から大胆に量的緩和政策を実施しました。

そして総選挙を経て誕生した保守党・自民党による連合政権はいま財政の立て直しに取り組んでいます。

英国の首相のデビッド・キャメロンは44歳です。
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(出典:ウィキペディア)
彼のお父さんは地場証券、パンミュール・ゴードンのパートナーでキャメロン家はずっとパンミュール・ゴードンの経営に携わってきました。同社は日露戦争の時に高橋是清の外債発行のシンジケート団で最も大きな引き受けシェアを誇った証券会社でもあります。

キャメロン政権の財務相を務めるのはジョージ・オズボーンです。39歳です。
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(出典:ウィキペディア)
この若い2人は大胆な財政立て直し策を打ち出しています。それは政府支出の削減と付加価値税(VAT)の増税から成っています。

この財政立て直しの努力はとても大胆な試みで政界や金融関係者を驚かせました。でもイギリス経済は乱気流の中に突っ込んでゆこうとしているのです。従ってこのプランは大失敗するリスクもあります。

現在のイギリスが直面している問題は大きくわけると2つあります。ひとつはインフレです。

冒頭に書いたように今日発表された1月のCPIは+4.0%という極めて高い数字でした。
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イングランド銀行はインフレ・ターゲットよりCPIが高くなっている理由として去年、ポンドが下落したことと、一旦、引き下げられた付加価値税の標準税率をもとの17.5%に戻したことの2つが関係していると説明しています。

付加価値税の標準税率は今年20%に引き上げられます。このように付加価値税が変更されるとそれに便乗した値上げなどもおこりやすいです。

イギリスの政策金利は0.5%です。
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するとインフレが4%ですから実質金利はマイナスになっているわけです。
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