誇大化する情報に惑わされないようになる方法

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 「新しい研究によれば、薬Yは肝臓がんによる死亡を67%減らしました!」
 「ジョーンズ夫人は2003年に肝臓がんと診断されました。彼女は薬Xを飲み、がんは消え去りました」

 こんな劇的なストーリーが医療関係の広告に掲載されている。
 しかし、こうした情報に騙されてはいけないと警鐘を鳴らす本がある。米国の医師たちによって執筆された『病気の「数字」のウソを見抜く』(スティーヴン・ウォロシン、リサ・M・シュワルツ、H・ギルバート・ウェルチ/著、北澤京子/翻訳、日経BP社/刊)である。

■「健全な懐疑主義者になれ」
 医療情報は広告であっても、役所の広報であっても、そしてメディアの記事であっても、その重要性がしばしば誇張される。そうした中で、本書では読者に「健全な懐疑主義者」になることを勧める。つまり、情報に批判的に接するのだ。
 誇張のテクニックは様々だが、例えば重要でない結果を強調する、数値を示さない、実際より重要に見せるなどが一般的だろう。こうした強調される情報に惑わされないために、私たちは2つのステップを踏んで批判的に考えるべきだ。

ステップ1:その結果が自分にとって重要であるということをはっきりさせる
医療情報を読み解くにはまず、どんな結果が検討されているかを判断する。その結果について関心がないなら無意味だ。
ステップ2:数値を入手する
人々の関心を惹くために用いられる、びっくりするような数値や劇的なストーリーは、すべて批判的にみる。

 批判的に見る際に必要なのはデータ(数値)だ。
 数値がなければリスクがどのくらい大きく、利益がどのくらい大きい可能性があり、あるいは、そのことがあなた自身にとってどれだけ重要かを知ることは困難だ。
 結果と数値を知ること、それが批判的に情報を見るための原点であるという。

■額面通りに受け取るべきではない統計も
 数値が大切だと述べたが、もちろん医療情報は数値がすべてではない。
 その「数値」が信頼すべきものかどうか自問することも大切だ。
 著者たちは「額面通りに受け取るべきでない統計が多い」と指摘する。その確実性が、大げさに伝えられていることもあるのだ。

 例えば、サヤインゲンが、とある病気Aを予防できると信じている研究者がいたとする。この仮説を研修するには、サヤインゲンをたくさん食べる人と、サヤインゲンをまったく食べない人と比較し、どちらで病気Aが多いかを調べるだろう。
 しかし、よく考えてみよう。これらの2つの群はサヤインゲンを食べること以外も多くの点で非常に異なる可能性がある。例えば、サヤインゲンを好んで食べる人はそもそもヘルシーな野菜が好きかも知れない。そのため、もしサヤインゲンをたくさん食べるグループが他のグループより“成績が良い”としても、実は他の要因があり、その結果が出ている可能性もある。
 こうした比較観察研究を耳にしたとき、常に慎重に情報と向き合うべきだと著者たちはいう。

 こうした情報との向き合い方は、医療情報に限らず一般的なメディアが流す情報全てに通じること。インターネットの発達により膨大な量の情報と日々接さざるを得なくなった私達が現代を生き抜くためには、「健全な懐疑主義者」であることが求められているといえよう。
(新刊JP編集部/金井元貴)

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