今やすっかり当たり前となりつつある男性の草食化と女性の肉食化。

 近頃はさらに進み、男性用ブラジャーが「楽天市場」で売れ筋1位になったり、女性にあごヒゲが生えてくるという調査データ(日本電気が2009年11月に実施した「オス化と女子力」に関する意識調査結果)までがあるほどで、まるで身体的にも性別が入れ替わってしまったかのようです。

 その傾向は、SFアニメに登場するキャラの変遷にも表れていると、書籍『世界が絶賛する「メイド・バイ・ジャパン」』の著者・川口盛之助氏は言います。

 特撮ものの元祖、『ゴジラ』の頃には自衛隊のおじさんたちが、メーザー砲などの新兵器を駆使して、家族を守るために盾となって戦っていました。そして、初代『ウルトラマン』のハヤタ隊員から『マジンガーZ』の熱血漢・兜甲児へと、ヒーローは徐々に若くなっていきます。しかし、彼らはいずれも「地球を守る」という使命感に燃えて戦っていました。

 これが『機動戦士ガンダム』のアムロになると、「なんでボクが戦わなくちゃならないんだ?」と選ばれた不運を呪うようになります。『新世紀エヴァンゲリオン』のシンジにいたっては、半泣きで仲間の少女たちに「君は怖くないのかい?」と問いかけてしまいます。

 エヴァの後に流行したセカイ系アニメの代表作『最終兵器彼女』に目を向けてみると、もはやこの世界では、日本の未来は女子高生・ちせの一身にかかっています。「最終兵器」としてサイボーグ化された彼女は、普通の高校生として過ごしたい気持ちを抑え、毎夜のように襲来する敵を打ち砕きます。とうとう「地球を守る」のは女のコになってしまったのです。

 政府の『男女共同参画白書』によれば、日本女性の政界や経済界への社会進出度を示すジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)は、2008年では93か国中54位、先進8か国(G8)中では最下位という非常に低いものでした。しかし、アニメの世界ではこの関係は逆転してしまっているのかもしれません。

 もちろん、現在でも人気アニメ『ONE PIECE』のように、男のコが活躍するアニメは大きな支持を得ています。ただ、その主人公・ルフィもかつてのようにマッチョな熱血漢ではありません。

 アニメが現実を先取りしていたのか、現実がアニメのようになりつつあるのか。議論が分かれるところですが、アニメの世界でも男のコたちが草食化しつつあるのは間違いないようです。



『世界が絶賛する「メイド・バイ・ジャパン」』
 著者:川口 盛之助
 出版社:ソフトバンククリエイティブ
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