格闘技団体SRC「雑誌のせいで」大会中止に見る格闘技興行の窮状と疲弊する現場

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 前代未聞の大会中止だ。以前は「戦極」の名称で大会を開催していた総合格闘技団体SRCが、専門誌の記事に抗議、4月23日に予定されていた有明コロシアム大会を"白紙撤回"と発表したのだ。

 問題となったのは専門誌「ゴング格闘技」(イースト・プレス)が掲載した、昨年12月大会への批判記事だ。

『SRCのあの日のイベントは、プロモーションとして問題点がありすぎました。実際、試合当日になって契約を結ぶような試合があったようですし、勝負論の掛かった試合と、勝負論からかけ離れた顔見せマッチが入り混じっていました』(一部抜粋)

 SRCを主催するワールドビクトリーロード社は、公式ホームページで、この記事により「設立以来最大の窮地に立たされております」とコメント。試合当日に契約を結んだということを事実無根とし「訂正、謝罪を強く求める」としている。

 通常なら記事に対する抗議は、編集部との直接対話で解決されるだけのことだが、SRC側はスポンサー企業のドン・キホーテから「こうした偏った論調が堂々と大手をふるうようなら、すべての支援活動からの撤退も辞さない」(原文ママ)と通達されたことを明かし、この件で大会中止となったとしている。

 過去、週刊誌の告発記事が発端で、人気団体PRIDEが、暴力団との癒着が疑われた末にテレビ契約を失い消滅した事態はあったが、今回の記事は批判の内容に具体性もなく、大きな社会的ダメージがあるとも考えにくい。別の格闘技雑誌のフリーライターも「大会を中止するほどの内容だろうか」と首を傾げている。

「ただ、記事を書いたライターの高島学氏はやたら大手団体に厳しい論調が目立つ人で、関係者でも嫌っている人は少なくありません。少し前に高島氏を嫌う格闘技関係者がSRCの協力者となったので、その影響とも考えられます」(同ライター)

 しかし、個人的な感情でのものならば、当の高島氏を取材拒否にすればいいだけの話という感じもする。当のSRCに関わってきた選手関係者に聞いてみたところ「スタッフが業界の冷たい空気に疲れきっていることも理解してあげてほしい」と内情を明かす。

「興行の収支は赤字覚悟。そうなると収益よりも将来につながるクオリティの格闘技イベントにしているかどうかが焦点なんです。そうなると雑誌記事を判断材料にされることもあります。もちろん、SRCはまだ若い団体で、スタッフが手慣れていない部分はありますが、何か決定的な落ち度があるなら直接指摘してくればいいこと。それを現場では何も取材してこないまま、後で鬼の首を取ったように"問題点がありすぎた"などと一方的に書かれれば、スポンサーからも"ちゃんとやっていないのか"と言われる。板挟みとなるスタッフは疲弊する一方で、大会の準備どころじゃなくなります。こんな厄介な世界だと格闘技界にお金を落とす企業もいずれなくなりますよ」(同関係者)

 こうした小競り合いにはの根源は「格闘技興行自体が苦しいこと」と前出ライター。

「スポンサー頼みの苦しい状況ということが一番の問題で、このままでは、来年までに大手団体がサッパリ消えてなくなるということもあるでしょう。大晦日の『DYNAMITE!!』も今年は開催されない方向で動いていると聞きましたし」(同)

 それこそ主催者と記者がケンカしている場合ではないのではないか。



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