ユニセフ職員はタダ働きじゃ務まりません

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今回はKenさんのブログ『Tokyo Life』からご寄稿いただきました。

ユニセフ職員はタダ働きじゃ務まりません
ユニセフの国際スタッフ(日本ユニセフ協会の職員じゃなくて、途上国の ユニセフ現地事務所で働く人)の日本人の友人が話していたことなんですけど、日本帰国中に「国連機関に勤めています。ユニセフです」なんていう話をしていると、「ユニセフの職員が給料をもらっている!」と不満げな反応をする人が時々いるそうです。

そりゃ、給料もらいますよ。援助のプロですから、彼らは。片手間に道楽でやってるわけじゃなくて、高い専門性を持ったプロの仕事としてやってるわけですから。生活環境の厳しいところでの仕事が多いし、危険もあるし、それなりの待遇が当然必要です。

「ユニセフのスタッフが給料をもらっている」といぶかる人々にとって、ユニセフとは慈善団体、ライオンズクラブとかロータリークラブとかと同じようなものと思われているんでしょうね。途上国の貧しい人々のところに手弁当で出かけて行って援助を差し伸べる、純真な心の人たちの集団、くらいのイメージなんでしょうか。

*   *   *

開発協力、国際援助の分野で、日本に力のある大手のNGOがなかなか育たないのは、この「タダ働きであるべきだ」という信仰が影響している部分も大きいように思います。国際NGOに幾ばくかの寄付をして、そのNGOがカンボジアに建てる学校の建設費になると思っていたら、そのNGOのスタッフの給料になっていた、といって怒る人がいる。

そしたら、誰がその事業を運営するんでしょう?

「お金持ちが、ボランティア精神を発揮してやればいい。若い人がインターンの一環でやればいい」

たしかにそれで賄える部分はあるかもしれませんが、それじゃいつまでたってもアマチュア仕事だし、事業の拡大の可能性も、それどころか継続の可能性も小さい。結局、一時の自己満足に過ぎない事業や、とんちんかんな事業をやる小規模なNGOばかりになって、途上国の社会開発に自らコミットするような大手の NGOがなかなか育たない。小粒でもすばらしい仕事をしているNGOが数多くあるのも知っていますが、往々にして専従スタッフは極めて少数で、しかも薄給です。

日本人に多い“サービスはタダ”という感覚の延長線上なのかもしれません。“ものづくり”信仰が強いせいか、モノではない目に見えないサービスにお金を払う感覚が希薄ですよね。途上国に建てる学校の資材にお金を払うのはいいけれど、その建設のコーディネート作業にはお金を払いたくない。そんな空気がある。

小さなNGOや、普通に暮らす個々人の善意を軽んじるつもりはないですが、しかし、開発協力、途上国支援は“道楽”で済むものではなく、“仕事”として取り組まねばならない水準のものです。「善意の種をひとつまけば、大きく花が咲いて世界が平和に」というほど世界は甘くない。

世界が多くの人々にとってもっと住みやすくなるにはどうしたらいいか、という課題に取り組むことを仕事としているプロフェッショナルが世界には大勢いて、彼らの仕事がまわりまわって途上国に住んでいない人々の暮らしやすさにもつながってくるんですけど、「ユニセフの人が給料をもらっているなんて!」と文句を言う人たちにはそこまで想像力が及ばないんでしょうね。

まあ、街で外国人を見かけるときか、買い物のときに“Made in ナントカ”って書いてるのを見るときくらいしか、世界を意識しなくても楽しく生きて行ける日本にいれば、それも致し方ないか。

執筆: この記事はKenさんのブログ『Tokyo Life』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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