『ニコニコ動画』『ニコニコニュース』の記者の方が産経新聞の記者よりはるかに優秀だった件

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今回はtnakashi25さんのブログ『埼玉こそ最強』からご寄稿いただきました。

『ニコニコ動画』『ニコニコニュース』の記者の方が産経新聞の記者よりはるかに優秀だった件
1月14日、菅政権の内閣改造がありました。その記者会見で自社の質問を記事にしたところが2社ありました。それは『ニコニコニュース』と産経新聞。

『ニコニコニュース』:「菅首相、政権批判に反論「イメージで『できていない』と言われている」」 2011年1月14日
http://news.nicovideo.jp/watch/nw22391

『MSN産経ニュース』:「【改造内閣】「イラ菅」爆発 「すり替えるな」と逆ギレ 」 2011年1月14日
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110114/plc11011421540106-n1.htm

さてこの2つの記事を添削してみましょう。視点は2つ。
1.記者の主観ではなく客観性に基づいているか
2.事実誤認がないか

『ニコニコニュース』は特にありません。しいて言えばタイトルが釣りっぽい。政権批判が「イメージで“できていない”と言われてる」と総理が言ったのは事実ですが、むしろ「理解してもらう努力をもっとしないといけない」というところに力点があるように思えました

一方の産経新聞。これはひどい。引用して添削します。

**********
菅直人首相が内閣改造に伴う14日夕の記者会見で、記者が衆院解散・総選挙への考えを問いただしたのに対し、何も答えないまま、逆ギレする一幕があった。
会見で記者が、与謝野馨経済財政担当相ら財政再建派の起用を「消費税率引き上げの布陣だ」と、誰もがそう思うことを指摘したところ、なぜか首相は「決め付けて、すり替えて質問するのはフェアではない」と怒り出し、「イラ菅」ぶりを発揮した
自身の消費税増税発言で参院選大敗を招いた経緯もあるだけに、首相は神経質になったようだ
さらに記者は、無駄削減を掲げた民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)と将来の消費税増税との整合性をただし、衆院解散・総選挙で信を問わないかをただした。
首相はこの質問に全く答えず、記者が回答を求めたところ、司会役の千代幹也内閣広報官がさえぎって、会見は次の質問に移った。 ※以降は質問と回答の書き起こし
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「【改造内閣】「イラ菅」爆発 「すり替えるな」と逆ギレ」 1〜2ページ 2011年1月14日 『MSN産経ニュース』より引用
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110114/plc11011421540106-n1.htm

上記引用文の太字部分は、明らかに記者の主観で私にはそう見えなかったところです。そして「記者が回答を求めたところ、司会役の千代幹也内閣広報官がさえぎって、会見は次の質問に移った」という部分は読者に事実誤認を誘導させてると言われても仕方ないところです。どういうことか? 産経新聞の記事2ページ以降の詳報を見て下さい。

つまりこの記事では”記者が1回目の質問をし総理が回答。間髪入れずに記者が2回目の質問したら、総理がキレた反論をした。そして広報官にジャマされた”ように思えます。しかしながら実際は”1回目の質問に総理が回答した後、次の記者が質問し総理が回答。その直後に指名もされてないのに2回目の質問を行った”のです。僕の印象では2回目は質問というより「何で答えないんだよ!」と言うヤジに近い。千代広報官が遮ったのも不規則な発言に対する注意であるように思えました。

さてなぜ産経新聞の記者はこんな書き方をしたのでしょうか? 実はこの記事を書いた方、ブログをやってて今回の顛末(てんまつ)を書いてます。*

「記者会見で菅首相が挑発してきたので…」 2011年1月14日 『イザ!』
http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/2111954/
(*:編集部注:確認したところ、当該ブログを書いた記者が記者会見で質問をしたのは事実だが、新聞記事を執筆したのは産経新聞社内の他の記者とのこと。つまり、 『イザ!』でブログを書いた人と『MSN産経ニュース』の記事を書いた人は別人とのことです)

要は挑発されて頭にきたみたいですね。で、懲らしめてやろうとでもおもったんですかね? それはジャーナリズムとして正しいことなん? ペンは剣より強し。ただし暴力装置であってはならないのですよ。

産経新聞の記者の質問は『ニコニコ生放送』のアーカイブで10分14秒〜13分21秒の間、ヤジのような質問は18分にあります。気になる方は下記のリンクから見てください。『ニコニコニュース』にもリンクが貼られています。

「菅直人内閣総理大臣記者会見」『ニコニコ生放送』
http://live.nicovideo.jp/watch/lv37459832

このように産経新聞より『ニコニコニュース』の方が記事の客観性、事実の正確性ではるかに優秀でした。そしてもう1点『ニコニコニュース』が優れている点があります。それは記事の読みやすさ。

産経新聞の記事は要旨を最初に書いて質問と回答は後で全文(編集無)を記載してます。はっきり言って記者会見の質問と回答を書き起こされても冗長になって分かりにくいので読む気がしない。

一方で『ニコニコニュース』は質問と回答を一連の流れとして記事を書いてます。回答のところはコンパクトに編集をしています。こちらの方がはるかに読みやすい。しかし、こうなると気になるのがインターネットの住民がマスコミをマスゴミと忌み嫌う原因である“意図的・恣意的な編集”が『ニコニコニュース』でなされないかという点。

これは心配しなくてもいいと思います。だってソースとしてのアーカイブを載せてますから。しかもご丁寧に記事の部分から再生が始まるように。『ニコニコニュース』はソースも合わせて載せるという性格上、記事編集の客観性、正確性は慎重に対応せざろう得ない。ネットジャーナリズム出身の記者の方が多いようなのでインターネットの怖さも熟知しているでしょうしね。

そして最後に一番重要な点です。今回の記事を見て思ったこと。産経は自分の主張に世論を誘導してやろうという意図すら見えるのに、『ニコニコニュース』は事実提示に留め、判断は読者にゆだねてるのです。

正直、子供手当てがバラマキではないなどと言われても、原資が借金ならバラマキじゃねえーか! と思うわけですよ。僕は。しかし『ニコニコニュース』はそこは読者で判断してくださいというスタンスを貫いてる。ジャーナリズムって本質的にこうあるべきものじゃないですかね?

執筆: この記事はtnakashi25さんのブログ『埼玉こそ最強』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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