この前電車に乗っていたら、隣に座っていた女子大生風2人組がこんな会話をしていました。


「ユミぃ、この前ケンにご飯誘われてさぁ〜」
「マジ!?それで!?」
「『え〜無理〜』って(笑)」
「だよねぇ〜、何かあの人太ってるしねぇ〜(笑)」


もうね、聞いていて切なくて。ケン君のことを思ったら、胸が痛くなってしまいました。別にね、電車内でケン君の悪口をいくら言おうが、それは構わない。うるさいなぁとは思うけど、それは今回は置いておきます。でも、その断り方→「え〜無理〜」はどうなんだろうと思いまして。言われたケン君はどう感じたんだろうと。まぁ盗み聞きしておいて、あれなんですけどね。


【オブラートにそっと包んで】
日本語の素晴らしい用法の一つに、「オブラートに包んだ言い方」というものがあります。伝えづらいことを、遠回しに、出来るだけ傷つけないように伝える。僕はこれ、何だか日本人らしくてとってもいいなぁと思うのです。出来るだけ浸透して欲しい。そんな世の中になって欲しい。包みまくって欲しい。

例えば、さっきのケン君のケースにしてもそうです。


ケン「今度ご飯行こうよ」
女の子「えー無理ー」


これではちょっと露骨すぎる。自分に置き換えたら、刺さる刺さる。女の子の「ご飯行きたくない」という気持ち。これはもう仕方ないと思います。でも、もうちょっとケン君に気を使ってあげてもいいのではないかと。ケン君はたぶん、ものすごく勇気を振り絞ったんだと思います。しかしこの返事では、もう立ち直れないかもしれない。もう少し、オブラートに包んであげることはできなかったのでしょうか。


ケン「今度ご飯行こうよ」
女の子「うん、いいよ!」
ケン「何か好きな食べ物ある?」
女の子「一蘭のラーメン。それもカウンターで食べたい」


例えばこうですね。一蘭という有名ラーメン屋さんは、席がひとつずつ壁で区切られています。味に集中するために。で、ケン君は後々それに気づきます。「あれ、これ一緒に食べれなくね?」って。「遠回しに断られてね?」って。でもね、ここでのケン君は、たぶんそんなに落ちこんでないと思うんです。何なら「… なぁ、師匠。負けるって、いいな」ぐらいの変な恍惚を抱いているかもしれない。オブラート効果ですね。


でね、ケン君は太ってるらしい。別にいいんですよ、そんなこと。ケン君が幸せならそれでいい。でもたまに、太っていることに気がついていない太っている人っているじゃないですか。例えば「あたしモテないんだよねー。なんでだろう」とか言っている女の子がいるとしますよね。理由はもう明らかに、それなんです。太ってる。これはその人のためにも、ちゃんと伝えなきゃな、って状況です。で、また、そんな子に限ってこんなことを言うんですよ。


ほら、あたしって小食じゃん?


まぁ思うとこはありますよね。でも、言えないじゃないですか。


「ほら、あたしって小食じゃん?」
「ふーん。でも太ってるよね」


これは言えない。ストレートすぎる。理不尽ですけど、こっちが叩かれる可能性もありますからね。だから、ここでもオブラートの登場です。こういうときは、


「ほら、あたしって小食じゃん?」
「ふーん。あ、俺飲み物頼むけど、君サラダ油でいい?


例えばこうですね。遠回しに伝えてあげる。「太っている」という言葉にはトゲがあるので、しっかりとオブラートで包んであげなければいけません。たた、あまりにオブラートが厚すぎると先方さんが気づかない恐れがあるので、そこは要注意ですね。


それで、まぁ「太っている」ときたらお次は必然的に「髪が薄い」なんですが。これも難しいですよね。非常にデリケートな問題です。僕も最近、というかここしばらくちょっとキテるんで、普通に


髪やばくね?


とか言われると全然笑えないんですよ。深く傷つく。そのストレスでまた毛が抜ける。もうちょっと、オブラートに包んだ言い方をして欲しいなぁと。毛が豊富な人には、まぁ気持ちもわかりづらいと思うんですけど。そこはほら、「思いやり」じゃないですか。


「あ、もうこんな時間!そろそろ散らかろっか?


例えばこう。「帰る」を「散らかる」と言うことで連想させるというトリックです。これならね、すぐには気がつかないと思うんですよ。でも、なんか変だなって。頭の中には「散らかる」が残る。そしていつの間にか、抜け毛対策をしていると。まるっと平和解決ですね。他にも、こんな言い方はどうでしょう。


「あなたの髪型って、桶屋が儲かりそうだよね


よくわかんないけど。よくわかんないけど、俺の髪は何かあるんだなって。このまま行くと、何かしら桶屋が儲かるようなことになるんだなって。髪が薄くても別に桶屋は儲からないんですけど、相手に頭髪のことを考えさせるには充分ですよね。やっぱりこういった配慮は必要だと思います。


あの、皆さん、金八先生ってご存知ですか。ドラマの。そのドラマで、金八先生が「死ね」って言った生徒に激怒する、というシーンがあるんですね。でもこれもね、金八先生が怒るのも無理はないんですよ。さすがに「死ね」はヒドい。例えばここでもね、


千の風になって?


これぐらいのことは言って欲しかった。これならね、状況も違ったと思うんですよ。


【オブラート=思いやり】
じゃあ、もし丁度いいオブラートが見つからなかったらどうするか。同じ言葉でもね、例えば場所やタイミングによって、相手に与えるダメージは違うんです。そこを考えてあげる。もし普通に「臭い」って言われたら傷つきますけど、


「わー夜景が綺麗だねー」
「うん、でもお前のほうが綺麗だよ」
「もう…色々臭いゾ!


例えばこんな感じなら、幾分かマシだと思うんです。さりげなく潜り込ませる。これなら悪い気もしないんじゃないかなと。これも思いやりですね。つまり、そう、オブラート=思いやりなんです。オブラートがなくても思いやりで言葉を包めば、それは同じことなんです。


またね、何でもかんでもオブラートに包めばいいってものでもない。例えば相手のチャックが開いているときとかね。こういう場合は、逆にストレートに伝えてあげてほうがいいと思うんです。


さて問題です。昔ジャンプでやってた『モンモンモン』の弟の名前はなんでしょう?(正解:モンチャック)


下手にこんなことを言うと、気づかれないかも知れない。もし気がついても、「うわ、何かオレ気使われてんじゃん」って相手が余計に恥ずかしくなってしまう。だからここは、つとめてサラリと。全然気にしていません風に伝えてあげましょう。「チャックがあいてる」とか「なんか毛が出てる」とか。こういった単純なミス系は、ストレートなのが一番です。このように、場合によってはオブラートに包まないことが、思いやりにもなる。日本語って本当に難しいですね。


言葉の「オブラート」。包むも包まないもあなた次第です。いずれにせよ、思いやりに溢れた世の中になって欲しいものですね。


(テキスト:斉藤アナスイ)

バックナンバー【斉藤アナスイの◯◯】
モテるためのオシャレ
女の子の言う可愛いの信憑性
10分でわかるアタック25
お弁当を隠しながら食べていた人集合




■関連記事
AKB48メンバー板野友美さん、ソロデビュー曲が異例のランキング3冠達成
【ニコニコ生放送】小池一夫のニコニコキャラクター塾!〜第2講〜 「マンガが100倍面白くなる」
ドラゴンエイジ3月号に「これはゾンビですか?」ユーのフィギュア!
DS「そらのおとしものフォルテ Dreamy Season」がついに発売!
ファミリーマート『ファミチキ(RED HOT)』