2010年12月に全線が開通した東北新幹線。今年3月に新車両「はやぶさ」のデビューが予定されていますが、日本に「夢の超特急」、新幹線が初めて登場したのは1964年のこと。いまから37年前の出来事でした。

 本書『新幹線と日本の半世紀』(近藤正高著)は、開業当時の数々のエピソードから、新幹線の未来についてまで描かれ、「その歴史を主に社会や文化との関係から振り返ろうというもの」です。冒頭には、「新幹線博多開業をきっかけに全国区へ!?」という見出しのもと、タモリと辛子明太子の「ふくや」をその代表として取り上げています。ここからも、本書が単なる新幹線史を記したものとは一線を画していることがわかるでしょう。

 1987年に始まった「シンデレラ・エクスプレス」のCMを覚えていますでしょうか? その後「クリスマス・エクスプレス」シリーズとなり、深津絵里や牧瀬里穂などの人気者を生み、若手女性タレントの登竜門的存在になりました。このCMが、「遠距離恋愛」を世に知らしめ、「クリスマスがカップルのものになった」時期と重なるというのは、興味深い指摘です。
 
 また、初代の新幹線がどのようにデザインされたか。じつは、「ある幹部が机の上にあったタバコ『ハイライト』の箱を指しながら、これでどうかと提案、とくに異論がなかったので決定した」というのが真相だそう。日本社会全体の高速化を新幹線がもたらしたことを考えると、新幹線誕生前ののんびりとした会議室でのやりとりが、特別なものに感じられるかもしれません。

 鉄道好きでなくとも楽しく読める、新幹線物語。ビジネスシーンの変化だけでなく、新たなライフスタイルの創造にも、新幹線が大きな影響を与えていることがよくわかる読み物になっています。



『新幹線と日本の半世紀』
 著者:近藤 正高
 出版社:交通新聞社
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