琵琶湖の大きさは滋賀県の大きさの何%? 人間の思考の不合理さを知る

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 先日配信した「“人間の思考の不合理さ”を体験してみる」という記事。
 人間は普段の生活でどれだけ不合理な判断をしてしまうのかをクイズ形式で主題し、大変な反響を呼びました。特に【問題1】は騙された方も多いと思いますが、元ネタは「モンティ・ホール問題」というアメリカのゲーム番組で行われた心理トリックです。

 さて、今回も同じく『不合理な地球人 お金とココロの行動経済学』(ハワード・S・ダンフォード/著、朝日新聞出版/刊)から、普段の生活で自分たちがいかに不合理な判断をしてしまっているのかの問題を出題します。
 是非答えてみてください。

【問題1】
ここに2人の人物がおり、それぞれ次のような経験をした。より大きなショックを受けたのは(1)と(2)、どちらの人物だと答える人が多いだろう。
(1)D大学理工学部の学生テリー・ホールは、愛用のノート型パソコンが突然クラッシュし、修理に1万7500円支払った。
(2)D大学理工学部の学生ネネ・チェリーは、愛用のノート型パソコンが突然クラッシュし、修理に2万円支払った。その同じ日にインスタント宝くじに挑戦したら2500円当たった。

解答
圧倒的に(1)テリーのショックの方が大きいと答える人が多い。


 行動経済学研究で著名なリチャード・セイラー教授は同様の実験をコーネル大学の学生に行ったところ、大多数の学生は(1)のケースに遭遇した人物のショックの方が大きいと答えたといいます。
 どちらも同じ金額なのに、インスタント宝くじが当たったほうがショックは少ないというこの心理は、キャッシュバックにおける購入者の心理と密接にリンクします。
 例えばある翻訳ソフトの店頭価格が3万円だったとします。もちろん、そのソフトを購入すれば3万円を損失です。しかし、メーカーが卸価格を5千円高めに設定し、ソフトの価格が3万5千円になり、その代わりに5千円のキャッシュバックを特典にしたとします。すると、キャッシュバックを受け取れば客が支払ったのは商品と同じ3万円となります。こちらの方がなんとなく「お得感」がありますよね。
 異なるのは払い戻される5千円です。これは先の問題でいえば、(2)の宝くじの当選金に相当します。そして払い戻しの5千円の価値を高く見積もるほど、キャッシュバックの特典がついたソフトを購入したほうが、満足度があがるのです。
 また、キャッシュバックは、同じ商品でも高く買う人には高い値段で買ってもらい、安くなければ買わない人には手ごろな値段で売るという「価格差別」の役割も果たしているのです。
 キャッシュバックがついているからお得…と考えてしまう前に、一呼吸をおいて考えてみましょう。

【問題2】
滋賀県にある琵琶湖。では、その琵琶湖の滋賀県の面積に占める割合はどのくらいだろうか。まず、地図を見ずに、記憶の中で利用できそうなものを使ってもらいたい。そして次に地図を見てもう一度判断してほしい。


 さて、いかがでしょうか。ちなみにダンフォード氏はお酒の席で、滋賀県出身ではない人にこの質問をよくするそうですが、その答えの多くは「1/2」から「1/4」の範囲だったといいます。しかし正解は?

解答
滋賀県の面積に占める琵琶湖の面積の割合はほぼ1/6(約16%)


 合っていましたか? 琵琶湖は意外と小さいんですね。滋賀県の面積は約4017キロ平方メートルで、琵琶湖の面積は670キロ平方メートルです。どうして大きいと錯覚してしまったのか、それは人間の思考は「アンカー」から逃れられないからです。
 「アンカー」とは日本語で「碇」のことを言います。私たちが意思決定をするとき、何か適当な基準を見出してそれをもとにして判断しようとします。この基準を「アンカー」にして、意思決定を行います。関西地方出身以外の人は、最初に天気予報の日本地図とその地図内にある琵琶湖を思い浮かべることでしょう。そして、そのあとに滋賀県とその中にある琵琶湖を思い浮かべてその割合を考えてみると、面積を大きく判断しがちになるのです。

 経済学はそもそも完璧な合理的判断を行う「経済人」をモデルとして成功を収めてきた学問です。しかし、このように、「行動経済学」を通して人間の行動を見ていくと、実際の人間の行動の知られざる姿が見えてきます。
 行動経済学を通して自分自身が普段どのくらい合理的なのか試してみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部/金井元貴)

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