“世界一退屈なゲーム”開発、共産主義の生活再現したその名も「行列」。

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1935年に米国で誕生して以来、今なお世界中で多くの人たちに楽しまれているゲーム「モノポリー」。不動産の売買により総資産トップを目指すというゲーム性は、資本主義だからこそ生まれたものだ。ところがこのほど、ポーランドで「モノポリー」に倣って考案されたというボードゲームは、本家とは相反する共産主義の生活を投影させたもの。かつての共産政権時代の生活を今の若者に教えたいと作られたそうだが、そのゲーム性を「世界一退屈なゲーム」(英紙デイリー・テレグラフより)と揶揄するメディアもある。

このゲームを開発したのは、共産政権時代の犯罪調査を行っている「Poland's Institute of National Remembrance」という政府機関の研究所。2004年には欧州連合(EU)の一員にもなったポーランドは1989年の民主化から20年あまりが経ち、それ以前の状況を知らない人たちも増えつつあるという。そこで、この研究所に務めるKarol Madajさんが「共産主義を覚えていない若者たちに教えたい」(独誌デア・シュピーゲルより)と、ゲームを考え出したそうだ。

ゲームの名はポーランド語で行列を意味する「Kolejka」。アイデアこそ「大まかにモノポリーに基づいて」(デイリー・テレグラフ紙より)作られているものの、その中身は大きく異なる。舞台は慢性的な物不足に苦しめられた1980年代。配給物資を求めて、店先に多くの市民が行列を作った当時の生活を味わうゲームとなっており、ルールは購入品リストで指定された10のアイテムを最初に買い揃えたプレイヤーが勝ちになるという。

ゲームに登場するアイテムは、いずれも当時実際に作られていた共産政権時代オリジナルの「トイレットペーパーやコーヒー」など60個。プレイヤーは受け取ったカードに指定された品目を買い揃えるべく、ボードにある5つの店へ並びに向かわなくてはならない。もちろん、ほかのプレイヤーに先駆けて早く店に辿り着けば、その分だけアイテムをゲットする可能性が高くなるのだが、そこからがこのゲームの勝負どころでもある。

どのアイテムがいくつ店に入荷するのかは、途中でオープンとなる「製品配給カード」で決定。つまりプレイヤーは何が買えるか分からなくても、とりあえず物を得る可能性だけを求めて店先に早く駒を辿りつかせるのだが、早く並んだからとて欲しいものが手に入るとは限らないのがミソだ。さらに、「子どもを背負う母親カード」や「政府の仲間カード」など、いくつかのスペシャルカードも用意。これらを使うと、先に並んでいる人を抜かしたり、秘密取引で品物を手に入れたりすることができる。

シュピーゲル誌は、プレイヤーがやり終えた暁には「当時の一般市民の買い物がどれだけ難しく、イライラさせていたかわかる」と、その忠実な再現ぶりに太鼓判。考案者のMadajさんは、若者が親や祖父母とこのゲームをして、当時の生活について話し合うことを期待しているそうだ。