今や押しも押されぬ売れっ子作家となった伊坂幸太郎の『アヒルと鴨のコインロッカー』を第一弾として始まった、東京創元社の次世代を担う新鋭たちのレーベル「ミステリ・フロンティア」。

 ミステリー界から大きな注目を集めるこのレーベルから出版された、新人ミステリー作家・梓崎優の『叫びと祈り』が、「週刊文春」や「このミステリーがすごい!」などが年末に発表した年間ミステリー小説ランキングで、第一作ながらも2位と3位にランクインし、ミステリ好きの読者の間で話題になっています。

 短編集であるこの作品は、2008年に「第5回ミステリーズ!新人賞」を受賞した『砂漠を走る船の道』など、5つの短編を収録。どの短編も海外ジャーナリストの「斉木」を主人公に、彼が世界中で遭遇する事件について描かれています。

 新人賞の際、審査員全員から激賞されたというだけあり、確かに1作ごとの完成度は高い『叫びと祈り』ですが、よくできた短篇の寄せ集めというだけなら、ありふれたミステリ短篇集のひとつに過ぎないと感じる人もいるでしょう。しかし、最後の作品「祈り」に至って、読者はある衝撃の事実を知ることになります。

 ネタバレになってしまうので詳細は書けませんが、実はそれぞれの短編で扱われた事件は偶然に起こったものではく、ある「目的」に従ってなされたものだということが、最後の短編「祈り」で明かされるのです。バラバラだと思っていた事件がひとつにつながる感覚。主人公・斉木が感じた驚きと同じものを、読者は追体験することができるのです。

 そのため、この『叫びと祈り』は短篇集でありながらも、長編ミステリー小説なみの読み応えを与えることに成功しています。これが、各誌の年間ランキングで高評価を得た理由かもしれません。



『今注目の新人ミステリ作家、梓崎優の『叫びと祈り』が高評価な理由』
 著者:梓崎 優
 出版社:東京創元社
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