映画『冷たい熱帯魚』/神楽坂恵「初日から“キスして!”と言われました」
 映画『冷たい熱帯魚』の出演女優達にリレー形式で行ってきたインタビューも今回が最終回。最後を飾るのは、この物語の主人公である社本(吹越満)の妻・妙子を演じた神楽坂恵だ。劇中では、娘(梶原ひかり)に蹴られたり、極悪非道な村田(でんでん)に肉体関係を迫られたりと大変な役どころである。彼女はこの作品でどんなことを感じながら演じ、そして、何を女優として受け取ったのだろうか。その芯の部分に迫ってみた。

――今作での役柄について教えてください。

神楽坂恵(以下、神楽坂):吹越さんが演じる社本の後妻の妙子です。妙子はいつも何かに流されていく日々を送っています。そんな日々を彼女は変えたいと思っているのですけど、自分ではどうすることもできない状態でいます。

――黒沢さんや梶原さん同様、神楽坂さんもオーディションに参加してこの役を勝ち取ったのですか?

神楽坂:全く演技ができない状態で行ってしまったんですよ(笑)。でも、演技の上手さではなく、やる気で使っていただけるようになりました。

――出演しようと決めたきっかけを教えてください。

神楽坂:台本を読ませていただいて、“強烈”というよりも“面白い”と思い興味を持ちました。強烈ではありますが、嫌な意味での強烈ではなかったんです。

――どの部分を一番面白いと思いましたか?

神楽坂:殺人事件が元になっているそうですが、『冷たい熱帯魚』の様な展開になるのは、なかなか無いです。巻き込まれ方が尋常じゃないじゃないですか。「あああっ!」って面白いぐらいに巻き込まれて行って、逆にそれが自然なぐらいに感じました。そういう所が面白いと思いました。

――坂道を転がる感じに、主人公の社本は破滅の道に落ちて行きましたね。

神楽坂:そうですね。スピードがとてもありましたね。余りにもきれいに巻き込まれて行って、違和感がなかったですよね。