AKB48に学ぶ証券化の基礎技術とCDO48

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今回はちゅんぷくさんのブログ『よそ行きの妄想』からご寄稿いただきました。(この記事は2010年12月30日に執筆されました)

AKB48に学ぶ証券化の基礎技術とCDO48
2010年ももう終わりということで1年を振り返れば、今年の芸能界はAKB48のために存在したと言っても過言ではなく、シングルCDのオリコンチャートはAKB48ばかりであり、テレビをつければそのメンバーを目にしないことはないし、明日の紅白歌合戦にも史上最多の130人という大所帯でもって出場が予定されている。

AKB48は当然ビジネス的にも大成功していると思われ、秋本康氏の懐にはまたしても巨万の富が流れ込む。200万部超という異例の大ヒットを記録し、『Q84』や『KAGEROU』という強敵を抑えて2010年でもっとも売れた書籍となった『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(以下もしドラ)の作者である岩崎夏海さんことハックルさんは、秋元氏から『もしドラ』の草案をボツにされたうえにクビを宣告された経歴を持つそうで *1 、秋元氏にしては珍しく金の匂いを嗅ぎ誤った格好であるが、その失態を補って余りある成功をAKB48は収めたと言える。

*1: 「「もしドラ」著者の岩崎夏海さん、文芸界変えてやる」 2010年12月28日 『スポーツ報知』
http://hochi.yomiuri.co.jp/book/news/20101227-OHT1T00298.htm

AKB48 というビジネスモデルについて、非常によくできていると思う点が2つある。(1)何人いるのかわからないほどの大人数にすることで個体よりも集団として認識させる手法と(2)ファンによる総選挙によってランキングを設け、さらにそれを随時更新していくモデルがそれだ。順に説明してみたい。

・たくさん集まるとなんとなく可愛いような雰囲気になる
これは(規模は違うものの)おニャン子クラブやモーニング娘。などで既に実証済みのモデルであるが、若い女の子の集団が醸す独特のキャピキャピした雰囲気は、オヤジの脳を麻痺(まひ)させる。これは、個体を取り出せば普通にひとりの人間でも、集団になると抽象的な概念として認識されるからで、要するにオヤジは<若い女の子>という概念に目がないからだ。

個別の女の子については当然人によって好みが分かれようが、<若い女の子>という概念であれば話は別で、世の男性の大半はそれが好きである。AKB48という概念も然りで、あれだけたくさんいると個別に顔と名前を一致させていく作業は常人にとって不可能に近く、総体としてのなんとなくの雰囲気で捉えてしまいがちだ。大ヒット曲「『ヘビーローテーション』のプロモーションビデオの、あの何か秘密の花園をのぞき見するかのような、どことなく背徳的でもある演出に触れ、テンションの上がらない男性は少数ではなかろうか。

「【PV】 ヘビーローテーション / AKB48[公式] 」 『youtube』
http://www.youtube.com/watch?v=lkHlnWFnA0c&feature=player_embedded

・一番人気という看板がつくと俄然(がぜん)燃える
これは要するにキャバクラと一緒だ。ナンバー1の売れっ子キャバ嬢と同伴することを来年の目標に掲げる男性は多いだろう。それは男のステータスであり、ついついわかりやすい数字に心を捉われてしまう哀しい性(さが)でもある。

AKB48 のメンバーたちは、総選挙なるシステムによってランク付けされる。総選挙において投票するのは無論彼女らのファンであり、そして投票用紙は有料である。シングルCDを1枚買うと1票が付与される仕組みだ。この仕組みのもと、ファンたちは血眼になってCDを買い漁り、お気に入りのメンバーに投票を行う。であるから、AKB48のランクはつまり、ファンからの貢ぎ物の量によって決まるということに他ならない。一番貢がせたやつが勝ちなのだ。

世の中に貨幣ほど客観的な尺度はなく、ファンからの貢ぎ物によってつくられたランクは客観的かつ重要な意味を持つことになる。そうしたランクにおいてナンバー1になることが特別な意味を持つことは論をまたない。

・証券化商品との類似性
上記2つの特徴は、端的に言えばポートフォリオとトランチングである。証券化商品について、その裏付けとなる資産が実は相互に関連するものであっても、それがたくさんあるだけでなぜかリスクが分散されているような気になってしまうのは、現代ポートフォリオ理論という概念の前に投資家の脳が麻痺(まひ)しているからに他ならず、イチかゼロかにしかならないような資産を裏付けとして発行された証券でも、シニアローンと聞くとエクイティよりもリスクが低いような気がしてしまうという現象については、何とかと煙は高いところが好き(貸借対照表上、シニアはエクイティの上に来る)という理由以外に思い当たる節はない。

証券化商品と比較してAKB48に足りないのは保証会社による保証くらいのもので、それさえあれば前田敦子や大島優子にはJCR(日本格付研究所)くらいであればAAA格がつき、農協あたりが間違えて投資してしまうだろう。

・CDO48
このように考えると、AKB48関連ビジネスの次の展開も自ずと明らかになる。いま、AKB48に続きSKE48やNMB48などの類似商品が次々とリリースされているのは、単なる2匹目のドジョウ狙いではなく、明らかに次の展開に向けての布石である。次の展開とは、他でもないCDO *2 の組成だ。

*2:CDOは、社債や貸出債権(ローン)などから構成される資産を担保として発行される資産担保証券の一種で、証券化商品である。『野村証券』証券用語解説集より引用
http://www.nomura.co.jp/terms/english/c/cdo.html

AKB48 やSKE48、NMB48などの各チームからメザニントランシェ的な微妙なメンバーを寄せ集めた新チームを組成し、さらに分散されたポートフォリオを演出するのだ。新チームの名前は是非CDO48にしてもらいたい。CDO48でも当然貢ぎ物によるランクをつけ、そこで1位になったメンバーについては、ナンバー1としてそれなりに売り出す。するとどうなるかというと、完全にイマイチだった女の子が、結果的にトップアイドルに変身することになる。

これはリスクロンダリングならぬ、アイドルロンダリングなのであって、まさに現代の錬金術である。米金融業界が狂乱したこの素晴らしい仕組みを応用し、全部自分の懐に入れてしまおうというのだから、秋元康氏のマネタイズ・パワーには心底感服する他ない。

執筆: この記事はちゅんぷくさんのブログ『よそ行きの妄想』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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