自転車が路上の無法者にならないために

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 筆者が住む東京・浅草は、自転車の町だ。買い物にいく人、仕事に向かう人、馬券を買いにいく人、そして酒場を渡りあるく人など、昼夜を問わず多くの自転車が走っている。ごく普通に走っている人がほとんどだが、なかには迷惑な走り方をしている人もいる。

 自転車のブレーキを取り外した上で公道を走った20代の男性に、道路交通法違反の罪で福岡地裁から略式命令が出された。自動車やバイクだと、交通反則通告制度により、軽い違反であれば交通反則切符(青キップ)を切られ、反則金の納付などの行政処分ですむ。だが、自転車はその制度が適用されない。

 自転車でなんらかの交通違反をしたら、交通切符(赤キップ)を切られ、行政処分ではなく刑事処分の対象となってしまう。同男性は、いったん赤キップを切られたが不起訴処分になる。ところが、ふたたび同じことをして赤キップを切られ、起訴されたのであった。

 じつは筆者も、自転車に子どもを乗せて、保育園の送り迎えをやる以前は、自転車の違反について関心を持っていなかった。簡単に買えるし、免許はいらない。適当に乗ってればいいだろう、と考えていたのである。しかし、ある日の夜、保育園帰りの道を自転車で走っていたとき、無灯火で走る自転車に接触され、横倒れしそうになった。

 もし倒れていたら、子どもは頭を打って大けがをしていたかもしれない……。あやまりもせずに逃げていった無灯火のおにいちゃんの後ろ姿を見ながら、強い憤りを感じたのをいまでも覚えている。

 無灯火で運転すると5万円以下の罰金。歩道でベルを鳴らし、歩行者を排除すれば2万円以下の罰金。犬の散歩をしながら運転すると3カ月以下の懲役、または5万円以下の罰金。2人乗りをしたら5万円以下の罰金(ただし、6歳未満の幼児を乗せる場合には、例外が認められる)……。自転車ユーザーのなかで、どれだけの人がこうした罰則の存在を知っているのだろうか。

 ようは、自転車で違反をして赤キップを切られ、刑事処分となり、刑が確定したら、その人には前科がつくのである。ところが、このような罰則があっても、それが全く知られていないところに、大きな問題がある。自転車に乗る人々は、無知なまま、みずからのマナーのみにもとづいて、道を走っているのである。よって、マナーをわきまえていない人が自転車に乗れば、とんでもない走り方をするのは当然の話だといえる。

 さらに、違反を見つけたら赤キップであるからこそ、警察も自転車の違反にはあまい対応をとることが多い。切ったあとの対処が楽な青キップと違い、赤キップを切ると取り調べやらなんやらと、違反者を起訴するまでの作業が増える。上記で述べたような違反をしている人など、そこらじゅうにいることから、実際に厳しく取り締まっていたら、警察官の手が足りなくなってしまう。

 自転車は、場合によっては凶器に変わる可能性を秘めた乗り物なのに、交通規則のなかでは盲点となっており、違反に対する警察の対応も不必要に寛大なものとなっている。筆者は、重罰化には意味がないと考えているものの、自転車の違法運転に関しては話が別である。罰があっても適用されることが少なく、多くの人は罰の存在すら知らないのだから。

 ほぼ無法状態であり、罰則があっても警察がまともに対処しないのだから、まずは自転車の違法運転に関する罰則の啓発を徹底しておこなう必要がある。それでもマナーやルールを守らない人が減らないのであれば、きちんとした法整備をおこなうべきであろう。

 それと同時に、学校なり家庭なりで、自転車を運転するときのマナーを、子どもにしっかりと叩きこむことも重要だ。親が無法運転をしていたら、子どもも無法運転をするようになるのは、当たり前の話である。自分の誤った運転により、相手がどのような迷惑をこうむるのか。それを想像できる人が増えれば、私もこうして小言じじいのようなことを書かなくてすむのだが。

(谷川 茂)
夕刊ガジェット通信

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