雄叫びをあげるザッケローニ監督(Photo by Tsutomu KISHIMOTO)

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開催国カタールとの準々決勝は、劇的だったね。一人少なく一点ビハインドという状況から、強いメンタリティで勝利をもぎ取ったのは素晴らしかった。これで準決勝進出。つまり、アジアのベスト4、言い換えればW杯出場枠ということになる。

オシムの壁を破れるかどうか、ここからがいよいよ本番だよ。負けたらコンフェデ杯に行けない。日本代表の強化を考えるときに、コンフェデ杯は参加すべき大会だから、なんとしても出場権を得てもらいたいね。

さて、劇的な勝利を素直に喜びたいところだけど、残念ながら課題はたくさん残っている。まず、2失点を喫した守備について。空中戦に強いことはこれまでの試合でわかっていたが、カタールのアタッカーのように、平面でスピードのあるタイプの選手に対して、脆さを露呈した。

1失点目のオンサイドについては、確かに微妙ではあるけど、判定に問題があったとは思わない。問題なのは、ラインが乱れていたことと、ドリブルで切り替えされてバランスを崩されたことだ。

そして、1対1でのファウルが多すぎる。それが結果的にカードにつながった。吉田の退場も、言い訳はできないね。足元の課題は、今後勝ち進んでいく上で非常に危険な部分だよ。

攻撃に関しても、シリア戦と同様、10人になってからようやくいいサッカーができるようになった。一人少なくなったことで、渋滞が解消されたような感じだ。香川は2ゴールをあげたことで、ついに目を覚ましたという報道も目立つけど、本人も言っているようにゴールシーン以外ではまだまだ、という感じだ。10人になって、中に入ってチャンスを作れるようになったけど、11人のときはスペースを見つけるのに苦労している。

攻守において、問題は解決していない。ただし、チームが一丸となっているのはよくわかる。中国で行われた2004年大会と状況も内容もよく似ているね。結局、これがアジアでの戦いということだろう。とにかく次の準決勝が楽しみだよ。(了)