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あなたも目にしたことがあるだろうか? 黄色い車体に青く“未来へ”と書いたワゴン車、「未来へ号」を。

出会った人の夢を乗せて走る「未来へ号」で車上生活をしながら全国各地をまわり、「GO FOR FUTURE」という非常にシンプル且つ普遍的なメッセージを発信し続ける“未来美術家”、遠藤一郎(Endo Ichiro)による大・遠藤一郎展『未来へ』が開催されている。

(上写真)「みんなの夢が書いてあるから塗り替えられない」という「未来へ号」は現在3代目を使用中。修理などの際にはがさざるを得なかった部分は、ことあるごとにお参りするという伊勢神宮の古札納所に納めているのだとか。

個展から自身がディレクションする展覧会まで、さまざまな形からなる6つの展示と1つのイベントをまとめた今回。アーティストとして、ディレクターとして、切り替えはあるけれど、やっていることは同じだという。
「自分の個展でもアーティストとして自分のセンスや才能によるものを見せたいわけじゃなくて、明るい未来を築いていこうっていうメッセージを伝えたいので、やっていることは同じなんですよ」。
理想の未来、夢、希望はみなそれぞれ。自分のヴィジョンを押し付けたいわけじゃない。みんな一人ひとり、それぞれが未来を思い描いて、その実現のために精一杯やっていこう。その精一杯の人の集合体が“明るい未来”をつくっていく、というのが彼の考え。
「企画展は人を集めてやりますが、そこでどういうコミュニケーションが生まれるか、その中で切磋琢磨して生まれるものが重要なんだと思います。僕がこの人とこの人を組み合わせたら面白いだろうと仕組みを考えるというよりは、無造作に集まった人たちと、無造作に生まれるものを大事にしたい。人と人が出会うことで未知数のエネルギーが発生する。だからぼくがやる企画展は人が多いほど面白いと思ってます」。



未来と言えば、2012年問題がそこかしこで提示されている。マヤ暦における人史の終焉、半身半霊という人の在り方の変化、物理学的次元の移行といったパラダイムシフトに関する諸説…。それを解く鍵を遠藤一郎は“絆”と呼ぶ。「過去からきたものを未来へつなげていく。自分がなぜ生きていられるのか、今その認識が薄いことに危機を感じます。人と人、だけでなく人とそれをとりまくあらゆるものとの間を繋ぐ“絆”を強く意識して次につなげていかないと。今はその転換期で、とにかくそれを意識していくっていうこと。変わらなきゃとは思っているけど、新しいものに変わる必要はない、本来あるものを思い起こしていくことだと思っています」。
「“絆”は絶対目に見える」と言う遠藤は、凧揚げや匍匐前進といったパフォーマンスによってその可視化を試みている。


昨年、万博に合わせて上海で現地の学生と行った凧揚げ。中国をイメージした赤い連凧は糸(=絆)でつながって無限の大空(=未来)に舞い上がり、風を受けつつ相互に影響し合って一部が壊れても補い合っていた。2011年2月中旬にはインドのアートフェスティバルでインド人と凧を揚げる予定。「未来へ号」ならぬ「未来へ象」が実現するかも。


昨冬、水戸芸術館のヨーゼフ・ボイス関連企画で「生きたアクションが必要」とオファーを受け、46日間、開館から閉館までの1日8時間、庭で匍匐前進を行った。はじめは一人で白い目で見られながらだったが、次第に挨拶や会話が生まれ、最終的に100人ぐらいで行った。

今回は、秋葉原・island MEDIUM「世界のみなさんこんにちは」、吉祥寺・Art Center Ongoing「Driving Photo Music THE MOVIE」、原宿・TOKYO CULTUART by BEAMS「愛と平和と未来のために」という3つの個展、トーキョーワンダーサイト渋谷「TEAM17 わくわくSHIBUYA」、柏・island ATRIUM「水谷一企画展『暴力と宇宙』」、本郷・AiCOLORS FACTORY「本郷芸術スター誕生」という3つのグループ展、そして六本木・SuperDeluxeで2月2日に行うイベント「GO FOR FUTURE NIGHT」の全7企画、様々な切り口で遠藤一郎のメッセージを世の中に投げかける一大プロジェクト。それぞれの展示について詳しくはこちらで。
「7ついっぺんにやることになったのは、基本的に声をかけてもらったら断らないので、『はーい』と応えてたらこうなったというかんじです。伝えたいことに終わりはなく、変わりもしないですが、今回はいい機会なのでできるだけ派手にやろうと思っています」。

ここであなたも目にすることだろう。明るい未来への鍵となる絆を。あなた自身のヴィジョンを。


大・遠藤一郎展『未来へ』
2011年1月13日(木)〜2月13日(日)
会場によって会期・休館日が異るのでご注意を。

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