“科学技術”を“科学・技術”にするか という話でまだモメているらしい

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今回はmojixさんのブログ『モジログ』からご寄稿いただきました。

“科学技術”を“科学・技術”にするか という話でまだモメているらしい
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「科学技術」と「科学・技術」。表記をめぐり、譲れない攻防が続いている。学者の国会とも呼ばれる日本学術会議が「科学・技術」を使うのに対し、科学技術政策の司令塔の総合科学技術会議は再び「科学技術」に戻した。「・」にこだわる背景には、政策の方向をめぐる意識の違いがある。
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「譲れない“・” 科学技術か科学・技術か、専門家バトル」2010年12月16日『asahi.com(朝日新聞社)』
http://www.asahi.com/science/update/1214/TKY201012140441.html

以前も採り上げたこの話題。“科学技術”を“科学・技術”にするかという話で、まだモメているらしい。

政策とかぜんぜん関係なくて、“科学・技術”にすると、単に日本語として誤解が激増してしまう、というだけの話に思える。記事中にも、<ただ、“・”を入れると“先端科学・技術”“総合科学・技術会議”のようにわかりにくくなる>という例が説明されているが、その通りだろう。

杏林大学の金田一秀穂教授(日本語学)は、こうコメントしている。

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日本語は語を構成するとき、前項が後項を修飾するものと、同格で並列するものとがある。「・」は並列関係を明確にするが、そもそも日本語の表記にはなく、並列だからといって、入れないといけないわけでもない。
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まったくその通りで、日本語では“科学技術”のようにくっつけて書いても、2語が必ずしも従属関係になるわけではなく、並列の意味もある。

言語のもっとも重要な機能は、書き手が意図するものを、その言語表現によって実際に意味させるというものだろう。“誤解”とは、これがうまくいかず、失敗するということだ。よって、誤解を増すような言語表現は、そもそも言語表現として失敗である。この失敗の可能性を増す方向に日本語を変えるというのは、日本語を改悪することにしかならないと思う。

いまの日本語をいっさい変えてはいけない、とは思わない。例えば“オーストリア”を“オーストリー”にするという話(頓挫してしまったようだが)のように、誤解を減らす方向の改善であれば、むしろどんどんやるべきだろう。“オーストリア”を“オーストリー”に変えるのは、“オーストラリア”との識別性を高めることで2国の混同を減らすので、日本語の“改善”になると思う。

しかし、“科学技術”を“科学・技術”に変えるのは、“・”の切断力が強すぎて、それを含むフレーズや文全体の意味を誤解させるケースが増えてしまう。よって、これは日本語の“改悪”になりかねないと思う。

執筆: この記事はmojixさんのブログ『モジログ』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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