「信頼関係は、築くものではない」“雀鬼”と呼ばれた伝説の雀士が語る教育論

写真拡大

 麻雀では、その人の性格がよくあらわれるといいます。
 麻雀の世界で、20年間「代打ち」として超絶的な強さを誇り、「雀鬼」と呼ばれる桜井章一さんは現在、麻雀を通して人間力を鍛える「雀鬼会」を主宰し、全国から集まった若者を指導しています。

 そんな桜井さんが執筆した『「頑張らない」から上手くいく』(講談社/刊)から、桜井さんの教育論をご紹介します。

■桜井章一が語る人間育成論!
 「雀鬼」とまで謳われた桜井さんですが、この本では、麻雀の話はまったくといっていいほど出てきません。純然たる教育論・人間育成論の本です。世の中の表も裏も知り尽くし、厳しい世界に身を置いていた桜井さんの言葉は、とても多くの示唆に富んでいます。
 実際、麻雀をやると、その人のことがよく見えることがあります。それが「雀鬼」とまで謳われた桜井さんなら、なおさらだと思います。

 本書の桜井さんの言葉を引用しましょう。

 「焦らずに子どもを待つことができるか。我慢できるか、つき合ってやれるか。そういった資質が親や指導者には求められているのです。」

 子どもの成長を願うのであれば、大人も学び、成長していかなければなりません。そのために、どうあればいいのでしょうか。

■子どもは、頑張らせてはいけない?!
 桜井さんは、子どもに「頑張れ」と強要することは、必ずしも正しいことではないと言います。普通の親なら、子どもには頑張ってほしいと思うかもしれません。また、一般的にも、「頑張ることは良いこと」とされています。
 しかし、これについて桜井さんは面白い例え話をしています。

 「子供の心を擦りすぎると、適温を失う」
 人間の体温に適温があるように、心にも適温があります。熱すぎても、冷たすぎてもいけない、“ほんのり温かい”くらいがちょうどよいのです。心も体と一緒で、誰かと触れ合えば温まるし、触れ合いを避ければ冷たくなっていきます。

 そこに大人の熱っぽさや冷たさが加わると、子どもの心は適温を失ってしまいます。例えば、親の過度の期待は子どもの心を必要以上に熱くする一因になります。本来であれば触れ合う程度の温かさがいいのに、期待しすぎてゴシゴシと擦ると、摩擦熱で子どもは熱を出してしまいます。

 桜井さんは、教育に熱心な人たちは、擦ることが愛情だと勘違いしている節があると指摘します。過度の期待は、子どもの許容量を超え、溜まった「熱」がマグマのように噴出して爆発してしまいます。
 そういう大人は、「子ども」ではなく「社会」を見てしまっているのではないかと桜井さんは言います。

 成績、学力、学校。
 自分の価値観を子どもにあてはめてしまうと、子どもはオーバーヒートしてしまうのです。

■「信頼関係は、築くものではない」
 「信頼関係を築くことが大切」とはよく言いますが、桜井さんは、信頼関係は築くものではないと言います。もちろん、これは信頼関係が不要という意味ではありません。

 親子の間に“壁”があったら、お互いに何を言ってもその“壁”に阻まれて届くことはありません。つまり、その壁があったままでは、「信頼関係」は作れません。
 桜井さん曰く、信頼関係は作るものではなく、“余計なもの”を取っていくことなんだそうです。
 「信頼関係を築こう」といきり立ってしまうから、逆に壁を作ってしまうこともあります。世間体、体裁、面目、プライドなど、そういった余計なものを大人の側が取り払っていくことで、子どもとの信頼関係は少しずつ生まれてくるのではないかと桜井さんは言います。

 桜井さんの言葉からは、子どもも大人も強くなってほしいという想いが感じられます。それは「頑なな強さ」ではなく、「しなやかな強さ」です。
 大人になればなるほど、世界は狭まり、柔軟な考え方ができなくなります。子供には色々な可能性があります。それを広げていくのに必要なのは、通り一辺倒な考え方しかできない「堅い強さ」ではなく、「しなやかさ」なのではないでしょうか。

 麻雀というひとつの世界を極め、人を見続けてきた桜井さんの言葉に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
読む新刊ラジオ:本書をダイジェストにしてラジオ形式で配信中!

【関連記事】  元記事はこちら
なぜイケメン・美女ばかりがモテるのか?
ゆとり教育が子どもたちに残していったものとは
子供の生まれ持った可能性を引き出す“ヨコミネ式”とは
ゆとり世代の「説明力不足」を叩き直す!

【新刊JP注目コンテンツ】
年始にはSF小説を読もう! お勧めSF小説を書店員さんが紹介!「ブクナビ」
個人に合わせた情報が手に入る「新しいメディア」 『スマートメディア』特集