朝4時に行列ができる吉祥寺の和菓子店

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 東京・吉祥寺に所縁がある人なら知っているであろう和菓子店。
 筆者も学生時代を吉祥寺で過ごしたため、もちろんこのお店の存在を知っている。毎日のようにこのお店の前を歩いたものだが、実際のところ、このお店の羊羹(ようかん)を1度しか口にしたことがない。

 なぜなら羊羹を購入するためには、始発よりも早い朝4時から並ぶ必要があるからだ。そう、このお店には早朝4時からお客が並ぶというのだ。1日150本限定の羊羹を手にするために。盆暮れには深夜1時に行列ができることもあるという。その店こそが「小ざさ」だ。

 そんな「小ざさ」の社長である稲垣篤子さんが執筆した『1坪の奇跡―40年以上行列がとぎれない 吉祥寺「小ざさ」味と仕事』(ダイヤモンド社/刊)は、店舗面積1坪、そして商品数はわずか2品という「小ざさ」のお菓子に込める想いや稲垣さん自身の半生、そして仕事観が語られた一冊だ。

 2つの商品は「羊羹」と「もなか」だが、「羊羹」は先ほど述べたように1日150本限定だ。それはなぜなら、「とにかく一番美味しいものをつくれ」という、味にこだわりを求めた稲垣さんの父の言葉を守り続けているからであるという。
 羊羹は「和菓子の王様」といわれ、小豆、砂糖、寒天のみから作られるため、材料と職人の腕によって味は大きく変わる、「つくる過程で手を抜くことのできないお菓子」なのだ。そのため、自宅から三鷹の工場まで、毎日自転車で通いながら、草木や木々といった自然の一日一日の変化を観察し、研ぎ澄ました五感を稲垣さんは羊羹作りに生かしていると本書では語られている。

 また、「小ざさ」にはお客が自分たち自身で決めた行列のルールが存在する。そのルールには、もちろん家族も社員も関係なく従わなければいけないのだという。

 本書からは「小ざさ」は客や店員など全ての人から愛されるお店であることが伝わってくる。しかし、読んでいくとやはりどうしても「小ざさ」の羊羹が食べたくなってくる。どうしよう。朝4時から並んでみようか…。
 ともあれ、人生訓として勉強になることはもちろん、吉祥寺好きであれば吉祥寺愛が深まる一冊だ。
(新刊JP編集部/金井元貴)

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