はしご酒ならぬ、はしご本。一日四股読書法

「一日に一冊だけを読んでいるわけじゃないんですよ」

 前回、江戸川乱歩から幕を開けた少年時代からの読書遍歴を披露してくださったなぎら健壱さん。後編となる今回は、不思議で器用な読書法に迫ってみたいと思う。

「寝る前、風呂、移動中、トイレといった具合に、だいたい4冊くらいを並行して読んでいます。読書家? いやぁ、遅々として進みませんよ。冒険小説みたいのを4冊重ねて読んでいると、だんだん登場人物が混ざってきちゃう。"なんであの人がいないんだ?"と思ったら違う小説だったりするし。だから、スパイものの後はハードボイルドとか、なるべく違ったものを選ぶことにしているんですけどね」

 頭の中で新種の物語が生まれてしまう画期的な読み方......というのは本望ではないが、この読書法を採用するのには理由がある。

「面倒くさいんですよ。読んでた本をバッグに入れて、また出してっていうのが」

 ちなみに直近のラインナップは、寝る前→「テロリストの半月刀」(ラリー・ボンド)、風呂→「落語家論」(林家小三治)、トイレ→「乞胸 江戸の辻芸人」(塩見鮮一郎)、移動中→「究極のライフル ハイパーショット」(トレヴァー・スコット)。

「風呂で読むのは捨ててもいいような本。絶対湯気で曲がってくるしね。だからって小三治さんのを捨てていいわけじゃないけど、談志さんのは主に風呂だね(笑)。トイレは早く話が進むもの。じゃないと読み終わるまでに一年ぐらいかかりますから」

 ところで新旧数多の本を読むなぎらさん、どのように良本をかぎわけるのだろう。
「まず題名。次に後ろの評を斜め読みするんです。頭の二行ぐらいと一番最後かな。それと表紙が下手なイラストのものは買わない。これだけで80%は失敗しません。飲み屋もそうだけど、本の"佇まい"も大事。帯、題名、表紙、後ろの評。帯は信用しませんがね。でも一番いいのは、佇まいはダメでも読むと最高に面白いもの。『ミレニアム1 ドラゴンタトゥーの女』なんかはいい例でした」

 最後に、なぎらさんと言えば酒。というわけで、読むと酒が飲みたくなる本をうかがった。

「例えば酒にまつわるエッセイとか、酒のことを書いた本を読んでも飲みたくはならない。酒そのものへの関心ではなく、飲むという行為への関心が大きいですから、小説の中での酒の扱いがうまい作家はいいですね。特に『無頼の掟』を書いたジェイムズ・カルロス・ブレイクはうまい。それから『消えた錬金術師』と『モーツァルトの陰謀』を書いたスコット・マリアーニもいいですね。小説の中での飲み方が格好いいからと、洋酒を飲ませるような店に行って、小説広げてウイスキーあおったりしてましたねぇ。で、懐には必ずエアーソフトガン。......バカだよねぇ(笑)」

取材・文=根本美保子


※このインタビューの一部は、 2011年1/8(土) 23:00〜23:54 『J-WAVE BOOK BAR』(J-WAVE 81.3FM)でオンエア予定です。







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