2005年に国防大学防務学院院長の朱成虎少将が、台湾情勢に米国が軍事介入すれば中国は米国に対して核攻撃する用意があると発言し処分を受けたと伝えられるが、最近、中国軍の若手将軍の中が際どい発言を繰り返し、注目を集めている。

 中国軍事科学学会副秘書長の羅援少将はこのほど、何でも平和的手段で解決しようとするのは「平和ボケだ」などと批判する論文を中国紙に掲載し、内外の驚きを呼んだ。

 多維新聞網によると羅少将は、中国紙・環球時報に寄せた論文で、「30年近く平和が続き、一部の軍人や国民の間には『平和がすべて主義』がはびこり、いかなる問題も平和的手段を用いるべきで、それ以外の非平和的な手段を使うことは、悪逆非道であるかのように考えられている」などと述べ、「平和がすべて主義」なる考えを提起した。

 羅少将のこの主張は、中国が国際紛争解決の基本方針として数十年堅持してきた「平和共存五原則」に対する異議と受け止められている。実際、南シナ海、東シナ海、黄海では主権を巡るいざこざが次々と起こり、朝鮮半島情勢は緊張が高まっている。米原子力空母「ジョージ・ワシントン」は、中国周辺海域を徘徊している。ロシアも極東の軍備を強化した。

 中国の指導者は対外的に、「平和的な台頭」を目指すのだと繰り返している。しかし、羅少将は「中国は真摯に平和的な台頭を望んでいる。問題は、平和的であろうとなかろうと、(米国など)人は中国の台頭自体が受け入れられないのだ。平和的であっても受け入れ難いのだ」と決め付けた。

 中国軍には羅少将を代表とする「タカ派」は少なくない。少将は「他国が人民解放軍をタカ派と呼ぶことに反対しない。軍人が戦を語らずして、誰が戦を語るのか。軍人が戦に積極的に備えないなら、軍隊を維持して何をするのか。軍人がすべてハト派になるなら、庶民があれほど多くの金を払って、軍を養う意味はない。金を節約して民生の改善に充てた方が良い。軍隊は平和基金会に名を改めるべきだ」なとど述べている。

 アナリストによると、中国共産党は一貫して軍隊を「絶対的な指導」の下に置いてきた。ところが最近は「個人の資格」で強硬な発言を行なう高級軍人が増えている。中国の党・政府の平和的な外交姿勢と「硬軟のセット」となって、中国指導層の言外の主張を伝えている。

 日本は、羅少将のような主張を一部の軍人の過激発言として軽視せず、全体として中国の真意がどこにあるのか、注意深く見守る必要があるといえそうだ。(編集担当:松本夏穂)



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