人類滅亡信じる人が訪れる小さな村、奇妙な“来客”に村民は困惑。

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最近、“2012年人類滅亡説”が主に海外で話題を呼んでいる。その根拠は古代マヤ文明で作られた長期暦が2012年12月21日から23日で終わること。これが何らかの終末を意味するのではないかの解釈があり、映画などの影響もあって「終末=人類滅亡」に繋げて信じる人が増えているようだ。

そんな人たちの間で、いま、フランスにある小さな村が注目されているらしい。どうやら「村にある山の洞窟に隠れていれば助かる」との噂により、フランス国外から訪れる外国人も増えているそうだが、人口200人足らずの村民たちはこの事態に困惑。村長は「大勢押し掛けてきた場合は軍の派遣を要請する」意向を示すなど、終末思想の持ち主たちの動きを警戒している。

話題を呼んでいるのは、フランス南西部にあるビュガラックという人口189人の小さな村。この村には最近、主に米国からの観光客が増えているそうだ。中には純粋な旅行としてやってくる人も当然いるが、現在はUFOを信じる人たちが訪問者の7割近くを占めているという。彼らが来る目的は、この村にある山。2012年に人類が滅亡すると考えているUFO信者にとって、この山がいつの間にか彼らの“聖地”になっているというのだ。

英紙デイリー・テレグラフや英放送局BBCなどによると、村にUFO信者らの訪問が始まったのは10年ほど前から。以前、すでに亡くなった村の男性が、この山で「宇宙人を見て、UFOの音を聞いた」との話がメディアに取り上げられ、以来村にはUFOを信じる人が来るようになった。

そしてここのところ、主に米国のUFO関連サイトで「2012年の人類滅亡を逃れたければ、ビュガラックへ向かうように」とアドバイスされるようになり、UFO信者の訪問が急増。彼らの考えは、この山の洞窟に潜んでいる地球外生命体は「世界の終わりを静かに待っている」らしく、それまでに洞窟に行けば一緒にUFOに乗って危機を回避できる可能性がある、というものだそうだ。

その話を信じてやってくる人たちは山で祈りを捧げ、中には「1人の男性が、完全に裸になって儀式のようなものをしていた」との目撃例も。しかし、こうした“招かれざる客”に迷惑しているのは村側だ。ある女性住民は散歩に出かけては、瞑想したり歌ったりしている訪問客の姿を頻繁に見るようになり、「もうこの場所が私たちの土地という感じがしない」と語っている。

こうした現状に村長も「笑いごとではない」と警戒感むき出しだ。いまの段階でも多くの奇妙な訪問客に困惑しているというのに、いざ2012年12月を迎えたらと思うと、村がどうなってしまうか心配だという。その不安から、村長は2012年12月に必要がある場合には、軍に出動してもらえるよう要請しているそうだ。

村の周辺では、一部のUFO信者が山近くの土地を高値で購入したため、土地の売買に対する住民の不満も起き始めている。自分たちの生活とは全く関係のないところで盛り上がった話により、UFO信者らに翻弄されているフランスの小さな村だが、先の女性住民は「本当に世界が終わると思うなら、私はこれからの2年間を素晴らしい時間にする」(デイリー・テレグラフ紙より)とコメント。どうやらやってくる人たちに対して、“不確定な未来に追われる前にいまを大切に生きなさい”と伝えたいようだ。