1997年の1月から3月まで、フジテレビ系で放送されたドラマ『踊る大捜査線』は、翌年に映画化され、興業収入101億円という大ヒットになりました。そして、2003年に公開された『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』では、前作を大きく超える興業収入173.5億円を叩き出し、2010年の今も日本の実写映画における歴代興行収入トップの座を守り続けています。

 日本映画の歴史を"踊る以前"と"踊る以後"とに大きく変えたとされるこの作品。その社会現象ともいえる空前の大ヒットを支えたものは、観客ひとりひとりの熱狂的な支持だったと言われています。
 
 キネマ旬報映画総合研究所の所長・掛尾氏は、実際に映画館で『踊る大捜査線』を観たときに、劇場に今までの日本映画とは違う、一種異様な熱気が渦巻いていたと話します。海外の劇場では観客がスクリーンに向かって声援を送り、拍手をする光景が珍しくありませんが、日本では稀なこと。しかし、この作品にはそれに近い雰囲気があったと掛尾氏は言います。

 実は『踊る大捜査線』というテレビドラマは、放映時にはあまり高視聴率ではなく、「ちょっと変わった刑事ドラマ」という程度の扱いでした。しかし一部に熱狂的なファンがいたことで、放映後も徐々に人気が広まっていきました。映画化はこうしたファンの声に後押しされた形で実現したのです。

 「これは自分たちが育てた作品だ」

 多くのファンたちはそうした感慨を抱いて映画館に詰め掛けました。それが、映画館に掛尾氏の言う「これまでの日本映画にはなかった、一種異様なまでの熱気」を巻き起こし、大ヒットにつながったのです。

 こうした熱狂的なファンの支持がなければ、ヒットはおろか、映画化すらされていなかったかもしれません。そういう意味で、この映画は観客によって作られた作品とも言えるのではないでしょうか。



『「踊る大捜査線」は日本映画の何を変えたのか』
 著者:
 出版社:幻冬舎
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