『カッコカワイイ宣言!』の監督が送る! 『30歳の保健体育』テレビアニメ版

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シリーズで累計30万部を発行している『30歳の保健体育』(一迅社刊)が、2011年4月からテレビアニメ化されることになった。同書は、恋愛に奥手な人々をターゲットとした恋愛ハウツー本。異性との会話の仕方から告白の方法、性の問題など、「大人になって、今さら誰にも聞けない」内容を扱っている。本日、公式サイトでスタッフとキャスト情報が公開され、そのアニメ監督を担当することになったまんきゅう氏に話を聞くことができた。

― 今話題の『カッコカワイイ宣言!』や『伝染るんです。』の監督を手がけるなど、ギャグアニメ色が強い印象があるまんきゅう監督ですが、どのような経緯で今回の『30歳の保健体育』のアニメ監督を引き受けられたのでしょうか。

まんきゅう監督(以下『まんきゅう』): うちの恋に飢えた女性スタッフが『この本を是非アニメ化したい!』と原作本を持ってきたのがきっかけです。それで読んでみたらとても興味深くて。僕自身は今までギャグものの作品に携わることが多かったのですが、アニメにして面白くなると思える作品なら色んな分野に挑戦したいと思っていましたので、これはもう是非!と。

― 『30歳の保健体育』を最初に読んだときの感想をお聞かせ下さい。

まんきゅう:とにかく丁寧に描かれていて驚きました。昔だったら友達同士で恋愛のことを研究しあったような内容が、全部一冊の本になっている。これも“草食系男子”など恋に奥手な男性が増えてきた今に求められる時代の流れ、現代の面白さなのかな、と思いました。あと、『30歳の保健体育』というタイトルのインパクトが物凄く強烈で(笑)。読まなくてもタイトルで中身が分かる。メッセージも伝わる。素晴らしいセンスに脱帽しました。

― 第1巻から第3巻にかけて、身だしなみといった基本的なことから性行為に至る過程まで描かれていますが、どのようにアニメを展開していく予定でしょうか?

まんきゅう: やはりアニメにするには一つのメインストリームが必要だなと思っています。原作は読者からの意見を取り入れて、巻を重ねるごとに初歩的な説明に戻って行く形になっていきます。つまり、第一巻で性行為の話を描き、第二巻では出会い方や身だしなみに触れ、第三巻ではキャラ作りとか基本的な内容を解説しています。ただ、やはりアニメではドラマを描く必要があるので、ストーリーはオリジナルで、男女が出会って恋していく過程をお話にしようと思っています。皆さん原作の第一巻の印象からエロを期待しているかと思うんですが、やっぱり一番大切なのは誰とでもエッチすることじゃなくて、“好きな人と”結ばれるっていうことだと思います。

― 特に第一巻などでは性行為の具体的な内容に言及するなど、過激な内容も見受けられますが、アニメではどのように表現していくのでしょうか?

まんきゅう: そこは“原作準拠”で(笑)。まぁ見てのお楽しみ、ってところはあるんですけれど、攻める形で。できるだけ原作を大事にするようにしたいと思っています。もちろんテレビの規制があるので描ける部分と描けない部分はありますが。ただ、あくまでも『保健体育』なので。ただエロをやるわけではないという自負があるので、そこは胸を張って描いていければな、と思っています。

実は制作に入ってから半年が経つのですが、作っているうちに、もはや「エロってなんだろう?」っていう世界に入っちゃって。私としては真剣にドラマを、保健体育を描いているので、関係者にコンテとか脚本を見せて「うわ、これエロいね!」とか言われると、逆に「どこが?」って思って困ってしまいます(笑)。

― 同書は大人でありながら恋愛初心者といった方々がターゲットとなっていますが、そのターゲット層に向けた工夫や見所などはありますでしょうか?

まんきゅう: “媚びない”。原作があるので、原作を大切に作っていくということを心がけています。いわゆるパンチラシーンとか、おっぱいプルンプルンとか、そういう意味のないエロカットは描きたくないです。

原作を読んで「男子頑張れ!」と思ったんですよ。私の考え方が古いのかもしれませんが、恋愛ごとにおいては、男子が頑張るべきだと思うんです。フィクションの世界では女の子からメアドを聞いてきたりデートに誘ったり、という描写がありますが、私はそれは違うと思うんですね。そんなラッキーなことは現実にはなかなかありません。というか私の人生にはなかった(笑)。

また、原作だと、主人公の男性に恋愛の『女神様』が現れるという設定になっていますが、そこはあえて男の神様にしました。男の心の中は男にしか分からないだろう、と思ったのが要因の一つです。あと、『30歳の保健体育』っていうテーマ自体が男女共通かな、と思って、30歳処女という女性キャラを作って女性パートも設けました。彼女には女神様が現れて話が進んでいきます。男性パートと女性パートの構造をアニメで表現しようとしているのが大きなポイントかなと思います。2人がそれぞれ神様からアドバイスを受けて、どう距離が縮んでいくかが大きな軸となっています。

― ちなみに、まんきゅう監督自身は、同書の主人公のように恋愛で苦労された点や努力した経験などはありますか?

まんきゅう: むっちゃ努力しましたよ(笑)。私は中学高校と男子校だったので、恋する対象がいなかったんですよね。でも思春期真っ盛りなので、仲間同士で「どうやってエッチするか」なんて話を毎日したり。友達のお姉ちゃんのブラジャーを盗んできて、膨らませたコンドームの上に装着して、コンドームが割れないようにホックを外す練習をしたりとか。そんなことばっかりやってましたね。やっぱり思春期に男だらけで過ごすのって良くないですよ。

大学に入って初めて共学になったんですけれど、やっぱり近くに女性がいるっていうのに凄く違和感を感じましたね。共学上がりの男子なんかは、朝女子生徒に「おはよう!」って肩にポンと手を触れるんですが、私にはそれが凄く衝撃的で。それで私も試してみたんですよ。「おはよう!」、ポン、って。でもその手が既にいやらしいんですよね(笑)。自然にできないというか。だから今でも女性には苦手意識がありますよ。やっぱり思春期に男子校は良くないな、と(笑)。共学の人たちみたいに、男女で委員会活動やったりとか、部活にマネージャーがいるとか、体育倉庫に2人っきりでいつの間にか閉じ込められちゃったりとか、そんな経験してみたかったですよ。今でも2週間でいいから共学に行きたいですね。

― 最後に、『30歳の保健体育』初テレビアニメ化にあたっての意気込みをお聞かせ下さい。

まんきゅう: とっても大きく出ると(笑)、この作品をきっかけに少子化問題を解決したいな、と思っています。つまるところ、このアニメを見て頂いても、原作本を読んでも、それだけでは恋人はできない。ただ、何かのきっかけになればいいなと思っています。恋したいな、とか、もう一回頑張ってみようかな、とか。そういう心の変化の一助になればいいなと思っています。

現実は、結局自分で行動しないと何にもならないんです。例えば中学高校の英語の授業だって、6年間勉強したけれど、別にペラペラにはならない。強制的にやらされたって、自分で興味を持って勉強しないと結局身に付かない、っていう部分が何にしてもありますよね。それと同じで、作品を見たり読んだりすることをきっかけに、実際に自分でやってみるとか、興味を持って頑張ってみるとか、そういうことに繋がれば嬉しいかなと思っています。

ただ甘い夢を見せて終わるアニメでなく、現実の一歩に繋げてもらえるような作品にしたいです。そのためにはキャラクターを魅力的に描いて、もちろんお話も面白くして。エンタメ的に魅せる新しい仕掛けも、結構考えています。見て頂いた方に、「恋したいな」と思ってもらえるように面白くしていきたいですね。

●まんきゅう氏プロフィール
1980年5月27日生まれ。学生時代からキャラクタービジネスに興味を持ち、独学でアニメ制作などを経験。オリジナルキャラクターを用いたアニメのほか、原作もののアニメ化などを手がけている。主な代表作は『伝染るんです。』(「伝染るんです 。」製作委員会)『殿といっしょ』(殿と製作委員会)『カッコカワイイ宣言!』(集英社)など。

『30歳の保健体育』公式サイトhttp://30sai.jp/

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