アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアン氏は「7:38:55のルール」という心理学の法則を提唱しました。
 この「7:38:55のルール」とは人のコミュニケーションのうち、言語情報が7%、口調などの聴覚情報が38%、そして視覚情報が55%の割合で影響を与えるというもので、非言語コミュニケーションの優位性を証明しており、「メラビアンの法則」としても知られています。

 カリスマ的な経営者やリーダーは言語だけではなく、口調やボディランゲージといった非言語のコミュニケーションをも駆使し、従業員や部下たちを虜にします。
 しかし、それはときに否定的な意味をもたらすこともあります。

 アメリカの経営コンサルタント会社の創設者として知られるステファン・ヤング氏は“Micromessaging:Why Great Leadership is Beyond Words(マイクロメッセージ〜なぜ優れたリーダーシップは言葉を超越するのか〜)”(邦訳未刊行/有料Podcast番組「エグゼクティブ・ブックサマリー」にて邦訳要約版を配信中)で、些細な非言語的メッセージを“マイクロメッセージ”と名づけ、リーダーたちがどのようにマイクロメッセージを使っているのかを分析します。
 そして、ヤング氏は本著において、“マイクロメッセージ”は肯定的でなく、否定的な意味のメッセージになってしまうことがあるということを指摘します。

 その一例を紹介します。
 新人従業員であるジャックはある日、オペレーションの効率を上げられる画期的なアイディアを思いつきます。ジャックはすぐに上司のオフィスに電話をかけ、自分のアイディアを説明する時間をもらえるようにお願いしました。
 ところが、ジャックはオフィスに入るやいなや、気持ちが沈んでしまいます。なぜなら上司はジャックが部屋に来たことに、わざと気づかないふりをしているように見えたからです。パソコンモニターを見つめ、イライラした態度を取り、不愉快な表情をする上司。ジャックが話している最中も電話を取って話を遮ったり時計を見たりしました。

 動揺したジャックは新しいアイディアを効果的に説明することができず、しまいには上司に「もういい、わかった」と怒鳴られてしまいます。ジャックは自分にオフィスを出て行って欲しいと思っていることを感じ取りました。
 リーダーが抱く不快な感情は、知らない間に相手や部下たちもそれを察知します。そのダメージは、言葉よりも時に大きなものとなります。

 こうした否定的なメッセージは“マイクロインイクイティ(小さな不公正)”と呼ばれ、経営者やリーダーたちが送ることで、従業員たちの自尊心や信頼を喪失させてしまうことがあるのです。

 経営者やリーダーとはいえ人間ですから、時には苛立ったり、不快感をあらわにしてしまうときもあるでしょう。しかし、部下や従業員たちは実はそういった態度の変化にきわめて敏感に反応します。
 逆に言えば、肯定的なマイクロメッセージを送り続けることで組織はまとまっていきます。なかなか組織がまとまらないと悩んでいるリーダーは自分が“マイクロインイクイティ”を送らないよう、気をつけてみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部/金井元貴)

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