“市民目線での気づき得られた”文京区長が育児休暇を語る

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 タレントのつるの剛士さんや公認会計士の山田真哉さんらが相次いで育児休暇を取得。育児を積極的に行う男性を意味する「イクメン」が流行語大賞トップ10にランクインするなど、2010年は例年以上に育児参加する男性に注目が集まった。
 そんな中でも、最もインパクトがあったのが2010年3月11日の毎日新聞朝刊一面を飾った、成澤廣修文京区長の育児休暇宣言ではないだろうか。自治体首長としては日本初の「育児休暇」取得。マスコミはこぞってこの“決断”を取り上げた。

 主婦の友社から12月15日に出版された『なんちゃって育児休暇でパパ修行』は、どうして育児休暇宣言をすることになったのか、どのようにその間を過ごしたのか、そして何を得たのかを、成澤区長自らがまとめた1冊。そんな本書の出版を記念したプレスセミナーが17日、都内で行われた。

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 多くの人は既にご存知かと思うが、社長や首長といったトップに立つ人々は、例えば有給や昇給といった被雇用者の制度が適用されない。そのため、成澤区長が「育児休暇」取得を宣言したとしても、制度的には“ただ単に区長が休んだ”という扱いになる。書籍のタイトルに“なんちゃって”という言葉がついているのも、そのことに由来する。

 そんな中、どうして成澤区長は“なんちゃって育児休暇”を宣言し、取得したのだろうか。
 その理由の1つは「結婚して9年、44歳にしてはじめて授かった子ども。愛情を注ぎたかった」というなんとも父親らしいものだ。成澤区長が育児休暇を取得したのは2010年4月3日から15日までの2週間弱。その中でも、「母親」という存在の偉大さや1日1日成長する息子を実感できたという。

「よく“主婦は3食昼寝付き”と言われることがあるが、冗談じゃない。全く暇が取れない。もちろん子どもにとって母親は偉大な存在ですが、父親にも出来ることはたくさんあります」

 さらに、それまで文京区役所の男性職員の中に、育児休暇を取得した人がいなかったという裏事情も披露。区長としてのリーダーシップを期待されていたこともあり、育児休暇を宣言するに至ったのだという。

■市民目線で見えた“文京区の課題”

 成澤区長はこの育児休暇を経て、様々な気づきを得られたという。

 例えば息子を乗せたベビーカーを押して歩道を歩いていたときのこと。ベビーカーがガタガタとする道がずいぶんあることに気づいたのだそうだ。成澤区長はもともと文京区役所から徒歩10分のところに住んでいる、生粋の“文京区民”。ベビーカーでも苦労するのに、車椅子の人がこの歩道を使うのはよほど大変だろうということを実感したという。
 「道路や駅のバリアフリー化も、頭の中での必要性はわかっていました。でも、実際に体験してみて、より強くバリアフリー化の重要性を感じましたね」と成澤区長は語る。

 ちなみに、この成澤区長の育児休業に対して区役所に寄せられた声は、55%が反対、45%が賛成であったという。「中には女々しいという意見も頂きましたが、(2010年5月に受賞した)ベストマザー賞に相応しい意見だな、と(笑)。1つ伝えたいのは、私が育児休業を取得したのは“男女平等”という意識ではなく、単に妻を支えたい、家族を大事にしたいからなんです」と成澤区長は強い言葉で話す。

 また、成澤区長が育児休暇を取得した後、長野県佐久市、広島県知事、新潟県阿賀野市などの首長が育児休暇宣言を行ったことにも触れ、「これからは連携していかないといけない」と課題を述べていた。
 そして、最後には、育児休暇は多様な選択肢であるとした上で、「パパがこの本を手にとって、“自分でも出来ることがあるんじゃないか”と思って欲しい」と訴え、セミナーは終了した。

 “イクメン”と呼ばれるのは好きではないという成澤区長。それでも、“イクメン”の代表として男性の育児参加を普及するため、積極的に活動する理由が本書からうかがえる。
 もし育児休暇を取ろうかどうか悩んでいるならば、是非本書を手にとってみてはいかがだろうか。
(新刊JP編集部/金井元貴)

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