「アブラクサスの祭」主演のスネオヘアー
 仏の道を志し、禅寺で奉仕の日々を送る鬱病の僧侶が、心に引っ掛かっている音楽への想いから、田舎町でライブを開こうとする――。映画『アブラクサスの祭』の悩み深き主人公・浄念を演じるのはミュージシャン・スネオヘアー。映画初主演の感想を聞いてみた。

――映画では坊主でしたが、今は髪が大分伸びましたね。

スネオヘアー:撮影から、もう一年ぐらい過ぎていますからね。

――以前も色々と映画には出られていますが、今回は初の“主演”ですね。如何でしたか?

スネオヘアー:大変なお話だなと思って、最初びっくりしましたね。やっぱり、ちょっと出るのとは背負うものが違うので。まずは「(自分が主演で)大丈夫なんですかね?」みたいな感じでした。そもそも、あまり細かいオーダーに応えられるような演技力とかはないですし。

――いやぁ、素晴らしい演技だったと思いますよ。

スネオヘアー:音楽が大事になってくる映画なんですけど、そういう意味で実際に音楽をやっている人をキャスティングしたみたいです。その共通項で、僕的に敷居を低くしてもらって。音楽から入って、台本だったり、諸々の演出だったり、割と(自分に)場を寄せて映画を作ってもらったんですね。

――浮き沈みの激しい性格の、難しい役でしたが、役作りはされましたか?

スネオヘアー:禅僧の浄念という人の気持ちの浮き沈みは、割りと初期の段階からシーン毎に細かくローとかハイとかミッドとかを監督とやり取りしていました。撮影の時も毎回確認で、落ちている所から急激に上がるとか、気持ちの動きだけは、すごくやり取りしていました。

――なるほど。シーン毎に本当に全然違っていて、面白いなと思いました。ところで、今回、お坊さんと言うことで“坊主”になることはあまり気にされなかったんですか?

スネオヘアー:いや、全然気にしましたね。一応、名前にも“ヘアー”って入っていたりするので(笑)。音楽って、見手に対してビジュアルで情報を与えてしまうと、音楽にニュートラルでなくなるというか、坊主だとジャンルっていうか、方向性が偏っちゃう。

――それでも、このお仕事を受けられたんですよね(笑)

スネオヘアー:最初はやっぱり、「坊主ですか…」って思いましたけどね(笑)。主演をやらせてもらうことは生きている中で基本ないと思ったので、やっぱりやってみたいなという気持ちはありました。役どころも結構葛藤したりする主人公がいて、その浮き沈みだったり、光と影みたいな所はすごく興味あったんですよね。役として素晴らしいなと。