孫子とは、中国古代に活躍した兵法家。その兵法書『孫子』は極めて実践的であり、現代でも実際の戦争に留まらず、経営戦略など多くの分野に応用されています。ただ、『孫子』は2500年ほど前に書かれた古典中の古典。それも、古代中国における国と国との戦争を前提としているため、今の日本人にはわかりにくい部分も多々あります。

 しかし、書籍『スラムダンク孫子』の著者・遠越段氏は、『スラムダンク』が、『孫子』を学ぶための最高の手引きになると言います。

 「夫れ未だ戦わずして廟算して勝つ者は、算を得ること多ければなり。未だ戦わずして廟算して勝たざる者は、算を得ること少なければなり。算多きは勝ち、算少なきは勝たず。而るを況や算なきに於いてをや。吾れ此れを以てこれを観るに、勝負見わる。」(孫子)

 これは「戦争の前に必ず味方の力と敵の力を比較計算し、勝つ計算が立つまでは戦争をしてはいけない」といった意味。これと遠越氏が比較しているのが、『スラムダンク』第21巻での桜木花道と安西先生とのやりとり。

 「あきらめたんじゃなかったのかオヤジ......」(桜木花道)

 「あきらめる? あきらめたらそこで試合終了ですよ......?」(安西先生)

 『スラムダンク』で、目標を「全国制覇」においた安西先生は、そこに向けた戦力の充実をはかっていきました。そして、湘北高校が高校王者として君臨する山王工業高校と比較しても「勝てる」と言えるところまで達したからこそ、このような台詞が出てきたのです。

 孫子は、精神論を退け、勝つための計算をし、そこに向けて戦力を充実させることが将軍の仕事だと言いました。また、それは戦う者すべてに求められる心がけであり、忘れてはならないことなのであるとも。安西監督が生徒たちにしたことは、孫子の兵法に照らせば、「まさしく将軍の仕事である」と遠越氏。

 2500年も前に考え出された孫子の兵法は、『スラムダンク』にも継承されているのです。



『スラムダンク孫子』
 著者:遠越 段
 出版社:総合法令出版
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