頭弱い店長が仕事の計画性と時間の使いかたについて教わった

写真拡大




今回はnakamurabashiさんのブログ『G.A.W.』からご寄稿いただきました。

頭弱い店長が仕事の計画性と時間の使いかたについて教わった
えーと、このエントリにはとりたてて目新しい内容は含まれてません。スタート地点が極めてバカっぽい人が、常識に接してびっくりしたので、びっくりしたあまり書いてみた、というような感じだと思います。

客観的に、コンビニ経営者としての自分の資質を評価するに、売場づくりはまあちょっとしたもんだと思う。人の教育なんかもまあまあ。金の管理は子供のおこづかい帳レベルなので自分ではいっさいやらないことにして、うちの奥さまにすべてアウトソーシングした。長期的なビジョンっていうことでは、ちょっと危ない。短期的な達成目標みたいなのはかなり得意なほう。

とまあ、いろいろ考えてみた。

で、このへんをまとめてみると、俺に決定的に不足してる資質がわかったりする。つまり、計画性がない。計画性のなさということではちょっとした自信がある。夏休みの予定の時代から、俺は計画どおりに物事を進められたためしがない。あと期日を守れない。まともに宿題提出したことない。何日までに発注するよーみたいな予約発注系のものしょっちゅうぶっ飛ばしそうになる。金の管理なんかは、期日をきっちり守って、予算を決めて、みたいな話なので、俺にはまったくできない。このへんの能力はバイト以下だと思う。

つまり俺が得意なのは、目の前に仕事が発生していて、それに対してその場で対応する系のものだ。ルーチンでなくなればなくなるほど得意で、たぶん俺が「これだけは絶対にほかの経営者に負けねえ」と思うのが、実はクレーム処理だってあたりで、悲しいくらいそれが如実にあらわれている。いや、クレーム処理重要だけどさー、それが得意ってどうなんだよ。

“その場で対応する”なんていうと聞こえはいいが、要は行き当たりばったりってことだ。行き当たりばったり度が強くなるほど、俺は力を発揮する。“もうあとがない”というときの俺の行動力、対人交渉力は相当なもんだと自負している。裏を返せばぎりぎり追い詰められるまでなにもやらない。開き直ったような自信があるからだ。最悪だなおい。

でまあ、計画性ないっつっても、そりゃまあメシ食う手段として店やってる以上、店を転覆させないくらいにはなんだってやる。やるんだけど、日常の生活やら仕事やらのなかで、この計画性のなさが、如実にあらわれる部分がある。

時間の使いかたがヘタ。これだ。

俺にはなんだかいつも時間がない。時間がないって口にするのは無能の最たる証拠だろー的なことってよく言われる。自分のこと無能だとは思いたくないからいちおー言い訳しておくが、時間の余裕はある。どんな仕事がきっついときでもエロゲ*1やったり本読んだりする時間は無理にでも作る。仕事単体の処理速度もはやいほうだと思う。なにより、いかに文章書くの速いほうだっつったって、俺は更新しすぎだろ。『Twitter』にもいつもいるし。

でも時間がない。なんで時間がないっていう感覚だけが存在するんだろう。と思ったら簡単なことだった。プライベートの時間でも、仕事関連の電話とかやたら来るからだ。あとなんかシフトに穴とかよく空く。

話は変わる。このあいだ、車上荒らしにあった。金の被害はそんなになかったんだけど、実印だなんだの重要なものが入ったカバンを盗まれた。ほんとに10分くらいのあいだのことだった。で、そういうものを悪用されないようにってことで、銀行の口座を凍結したり、実印の登録を廃止したりとか、まあやらなきゃいけないことが山のように発生したりしたんだけど、やっぱりここでも俺の問題解決能力は高かった。馬車馬のようにすべての問題をがーっと片付けて、とりあえず一安心できるところまであっというまにこぎつけた。

が、実はこのやたらな交渉力と問題解決能力こそが、実は俺の計画性という点における無能さを顕著に表現していた、らしい。

つまりこういうことだ。俺は、まず実印をなんとかしなければならんと思った。なので、その場で市役所に電話して、印鑑証明の発行を停止した。バイトを呼び出して自分のシフトを空けて、その足で市役所に行って印鑑登録そのものを廃止した。思いついたので、その場で地元に詳しいパートのおばちゃんに連絡して、近場で実印を作っている店を教えてもらい、速攻で電話。「とにかく急がないとやばい」と力説。「これから店に行くからよろしくお願いします! すぐ行きます!」とプレッシャーを与えつつ、店に到着。文房具屋さんでは、これから俺がそちらにとっていかに上客になるかを力説、過去に買ったものなんかも列挙。ほんとに10日かかるのか。1週間でもできるんじゃないか。などと言って、文房具屋のおっちゃんにできることは全部やらせた。その節はすみませんでした……。

で、とりあえず店に舞い戻ってきて、ここまでの経過をうちの奥さまに報告した。うちの奥さまは言った。

「なんで実印だけだったの? てゆうかそれ文房具屋さんで頼む必要あったの? 銀行印も変えなきゃだめだよね。短時間でその場で仕上げてくれるところってほかにもあると思うんだけど。だいたいただ実印登録したいだけだったら、あんたの実家に、使わなくなった印鑑がなんかあるかもしんないじゃん。なんで可能性を考慮しないでいきなり動くの?」

つまりだ。俺の行動力は、その場で思いついたことを脊髄反射で実行し、脊髄反射が通用しない場合は、通用させるべく無理を通す能力のことだった。いや、確かにそういうのが必要なときもある。けど、基本は“そうならないように”しておくのがベストだ。

まだまだ俺のタスクは残っている。そこで、俺は正座させられる的な状況で、うちの奥さまとミーティングすることになった。俺はまったく無能でなんにもできないかわいそうな人、という前提で、いま発生しているタスクをすべて列挙させられた。タスクのなかに「盗まれたカバンのなかに入っていた『小学星のプリンセス』の1巻がかわいそうなので、ルリスを僕のもとに転生させる」と入れたら、即座に「死ね」と上から赤ペンで書かれた。実はこの夫婦、あんがい余裕ある。

で、ノートを3冊用意させられた。1冊はメモ用。もう1冊は、毎日の行動予定とか期日のある仕事を書いておく用。最後の1冊は「えーと……やることリスト? よくわかんないけど。そういうのあるでしょ」とのことです。

で、うちの奥さまの説明が始まった。

「あんたはバカだから、まずそのノートをいつでも持って歩くこと。あんた、異常なくらいメモ取る習慣あるけど、何割くらいなくす?」

「ほぼ8割です」

「……あんたが他人だったら、距離取って見捨てる」

「すみません」

「とにかくノートを持って歩くこと。あとそれと小さいメモ帳。これは、いつでも絶対に持ってること」

「風呂でもですか」

「コントやってんじゃねえんだよ! 『モンハン』 *2 早くやりたいんだから話ややこしくすんな!!」

「で、その小さいメモになんでもいいからとにかく書け。プライベートのことでも仕事のことでもいい。とにかく書け。それだけはあんたできるだろ」

「はい」

「で、ここから。一日の最後に、必ず机に向かえ」

「ちゃんと毎日『Twitter』に」

「しゃべんな! 言うと思った。いいから黙って聞け。そんでな、メモ帳に書いたことを含めて今日一日で発生した今後やらなきゃいけなさそうなこととかを、メモ用のノートに片っ端から書く。考え直すことでメモだけでは気づかなかった仕事なんかも出てくるはず。特にあんたは脊髄で動いてるんだから、考え直すっていうことは絶対に必須。あと、本部の人間と話したりとか発注の計画立ててるときなんかも、その過程の要点はノートにメモっとけ」

「はーい。めんどくせー」

「で、そのままでは、ノートはぐちゃぐちゃだ。それを、期日がはっきりしてる仕事と、いつになるかわからないものに分けて、あと2冊のノートに分けて書く。期日用のノートは見開きで見渡せるようにして2ページな。そんなに使わない日もあるだろうけど、そういう日はあけときゃいい。あ、本部からの案内とかキャンペーンとかも書いとけよ。そういうリストはストアコンピューター見ればわかるけど、あんたは自分で書かないとだめ」

「めんどくせー余白もったいねー余白に日記書いていい?」

「 い い か ら 黙 っ て や れ 」

「えへへー」

「おまえやる気ないだろ……。で、やることリストのほうは、期日のはっきり決まってないもの、いつか発生するものとかを書く。あと、解決しなきゃいけないんだけど、いまの状態では動きようのないものとかな。そーだ。案件の発生した期日だけは、絶対に書き忘れんな。で、あんた、緑色が好きだからっていう頭の悪い理由だけで買った4色ボールペン持ってるだろ。あれで色分けして書き込む。あんたの場合、仕事とプライベート分けてもあんまり意味がないから、場所で分けるのがいいだろ。店でやること、家でやること、外出してやること。それと、先送り問題。……こんくらいか」

「エロゲ は?」

「捨てろ」

「俺に死ねというのか!」

「私は全部やったからもういいんだよ! つーか積みゲー *3 崩せよ! 『クロスチャンネル』 *4 おもしろいって前から言ってるだろ! 『クラナド』 *5 何年積んでんだよ! 腐るぞ!」

うちの奥さまはいちいちボケに対して律儀に反応するタイプです。

「で、そこまでやったら、期日用のノートと、やることリストノートを持って家に帰ってこい。それで、私の前でそれを全部報告」

「エロゲは?」

「あんたはどんだけエロゲ脳患者なんだ。かわりにうさぎがやってくれるそうだ。よかったな」

本当に律儀な人です。

「なぜ報告する必要があるかっていうと、あんたには計画性がないから。計画性ってなんだかわかるか?」

「よていひょうをつくる」

「バカの見本みたいな解答だな……。違うよ。結論を先に考えておいて、そこに至る筋道を実際の行動と結びつけて考えることだよ。たとえば今日の印鑑な。印鑑を頼むっていう行動はひとつだけど、実際には印鑑を買いに行くついでにできることだってあるだろ。それぞれの行動はひとつだけど、実際の生活は同時並行で動いてる。そういうのを全部関連づけて、大きな目標に対して合理的に配置して行動すること。これを計画性っていうんだよ」

「うん♪」

「あんたなんにもわかってねえだろ!!」

「わかってるよ。うさぎを外に出して遊ばせてるときには、それを見張りながらラノベ読めるってことだろ。そして大きな目標としては……うさぎが……俺を……うさぎの国が……」

「続けてみて」

「続かない……」

「なら黙って聞こうな」

「うん……」

「とにかく、その関連づけと、合理的な配置っていうのが、あんたは壊滅的にダメ。だから、これは自分じゃできないはずだから、私が考える。報告する過程であんたにも学習してもらう。で、さっき期日用のノート、見開き2ページって言ったろ。ここで、発生した仕事の優先順位を考えて、期日とかを割り振りして、仕事量のバランスを整えるんだ。それを右のページに書く。あんたが使っていいのは左だけな。これで合理的な行動指針が決まる。もちろん、実際には予定どおりには行かないよ。でも予定外のことをどうにかするっていうのは、それこそあんたの得意分野だろ。だから、そこは脊髄反射で行動していい」

「頭いいねえ」

「あんたが圧倒的にバカなんだよ! ふつうの人間は、ここまで技術化しなくたって、ふつうにある程度はこういうことやってるんだ!」

「ああ、まあ……。でもさ、これだと長期的な目標とかどうなるの。書く場所がないんだけど」

「それについてはいま話しても、どうせあんたにはできないから言わなかった。あと、あれじゃん。そこは本部の言うこと聞かなきゃいけない商売なんだから、本部が勝手に指針立ててくれるじゃん。あんた個人がビジョンを持ってるっていうなら、それを行動に分解する必要はあるけど、いまはそれをやる段階じゃない」

ということで、こんな話をして、うちの奥さまは『モンハン』に戻った。

それで俺は、一生懸命ノートとか書きながら思ったんだが、これってつまり、情報整理とか、あとはてなのトップによく出てるようなライフハック類似のことを言ってるらしい。てゆうより、スケジュール管理のソフトとかって、よくこんな構成になってるような気がする。使ってみたこともあるような気がする。「やることリスト」は、うちの奥さまが勝手につけた名称だが、これ、実はToDoではなくて、ペンディングのリストになってる気もする。

しかし俺は「そうすることの意味」を理解していなかったし、なによりもそれを活用するために、自分に欠落している能力というものに自覚的ではなかった。なまじ、ケツに火がついたときの問題解決能力が高かったために、必要性を自覚していなかった。

実際は、ツールを前にして人はそのツールを自分にあわせてカスタマイズしてうまく使うのだろうけれど、俺はあまりにアホだったので、カスタマイズの必要性を知らなかったわけだ。本来、ツールを使うのは、それが人の効率を上げてくれるからだ。だとするなら、ツールを使う前の人間は効率が悪いはずで、そこには落差がある。ツールを使うことで、無駄があった部分が効率化されるのはいいとして、問題はツールを使おうにも、そこに到達するレベルにすら至っていない部分だ。人間の能力には、あたりまえだけれど凹凸があって、この凹の部分が自覚されていない場合、本来はへこんだ部分を埋めてくれるはずのツールを前にしても、有効活用は覚束ない。使っても長続きしないというのは、こういう状態のことだろう。

で、俺の場合は“計画性”ということにこれが集中していた。もともと案件をリスト化する能力なんかはあったと思う。場当たりでやってもどうにかなっていたのは、リストだけは頭にあったからだ。ただし、目的に対して合理的に配置されることはなかったから“本来ならば、もっと前の段階でやっていなければならなかったこと”が、けっこう抜け落ちており、それが後々に問題となって立ちあらわれる。

時間がない、という感覚の正体はこれだ。理屈でいうと、先にやっておかなければならなかったことが抜けていたから、切羽詰ってからそれが出現して、解決できる人間である俺のところに急用が舞い込む。これはなにも、ビジネスがどうこうっていう大きな話じゃない。カレー作るのにたまねぎ買い忘れましたレベルのつまんないことでもある。

もっといえば、たまねぎなんかそうそう腐らないんだから、安いときに大量に買っておけばいいってことでもある。ただし、家庭の主婦と仕事の違いは、たまねぎの使用計画だけは先にきっちり立てておかなければならない、ということだ。そして大きな目標として、食費の節約と、家族が同じものばっか食って飽きないとか、そういうのがある。

このたとえで言うなら、俺は「腹が減った!」と思って、そのへんのラーメン屋に飛び込んで、ラーメンを値切るというおもしろ行為を繰り返していたことになる。そして“人間は腹が減るものだ”という事実に気づいていなかった。いつも腹が減ってからびっくりするようなことをやっていたわけだ。

まあ、どこまで続くかわかんないけど、とりあえず教えられたことを整頓するために書いてみた。うちの奥さまが言ったこと自体は、俺という個別のアホ向けにカスタマイズされた内容で、これが万人向きとも思えない。到達地点は、多くの人があたりまえのようにケータイなり手帳なりを使ってやってる程度のことだ。

そんなわけで、最初にも書いたけど、こんなのはあたりまえもいいとこのことなので、このエントリには別に目新しいことは書いてない。あと、うちの業態がペンディング発生しづらいっていう点には注意が必要。システムががっちりしてるから、折衝とかすりあわせがあんまり発生しない。

ところで、『モンハン』やってるうちの奥さまに聞いてみた。

「ここまでちゃんと予定の立てかたとかわかってるのに、なんでいままで言ってくれなかったわけ?」

「めんどくさいから。だってあんた、ほっといても最終的にはどうにかするじゃん」

「 め ん ど く さ い か ら 。なんだその絶望的な理由は」

「だってめんどくさいし……。そういうあんたは、これで時間を有効活用して、あいた時間でなにやるわけ?」

「エロ小説書く」

「 死 ね 」

なんだかんだで余裕ありますね、この夫婦。

編集部注
*1:エロゲとは、狭義には年齢制限を持つアダルトゲームのうち、その制限(一般には18禁)の主な理由が性的表現(セックスシーンなど)があるために年齢制限されるゲームのこと
※『ニコニコ大百科』「エロゲ」参照
http://dic.nicovideo.jp/a/エロゲ

*2:モンハンとは、カプコンから発売されているハンティングアクションゲームのモンスターハンター(Monster Hunter)のこと
※『モンスターハンター』公式ポータルサイト
http://www.capcom.co.jp/monsterhunter/

*3:積みゲーとはゲームを購入しているがプレイしていないソフトのこと。
※『ニコニコ大百科』「積みゲー」参照
http://dic.nicovideo.jp/a/積みゲー

*4:クロスチャンネルとは、2003年9月26日に発売されたFlyingShine制作のアダルトゲーム『CROSS†CHANNEL(クロスチャンネル)』のこと。
※『Wilipedia』「CROSS†CHANNEL」参照
http://ja.wikipedia.org/wiki/CROSS†CHANNEL

*5:クラナドとは、ゲームブランド・Keyが制作した恋愛アドベンチャーゲーム『CLANNAD(クラナド)』のこと。
※『Wilipedia』「CLANNAD (ゲーム)」参照
http://ja.wikipedia.org/wiki/CLANNAD_(ゲーム)

執筆: この記事はnakamurabashiさんのブログ『G.A.W.』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

■最近の注目記事
真夏におでんを売るぞ売るぞ売るぞ
NASAの“地球外生命(ET)の兆候探索に影響を及ぼす宇宙生物学的発見”に対して
「命をかけろ」とか他人に言ってはいけない件
“話を聞かない夫”に“話”を聞いてもらうのに大事な5つのこと
“ヒ素生物”の衝撃