“話を聞かない夫”に“話”を聞いてもらうのに大事な5つのこと

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今回はktdiskさんのブログ『Casual Thoughts』からご寄稿いただきました。

“話を聞かない夫”に“話”を聞いてもらうのに大事な5つのこと
なんてタイトルをつけるといかにも自分自身が“話を聞く夫”かのようだが、私はどちらかというと“話を聞かない夫”の部類にはいる。“聞かない”というより、納得感が一定以上に達しないと“話”として知覚できないというほうが正確な表現ではあるが、世の女性からすれば、それを“話を聞かない”というのだ、といったところだろう。

そんな私が、先日『マドレボニータ』という子育ての導入期の女性の心身のサポートをしているNPOの方からインタビューをせん越ながらうけ、家事・育児に対して協力的でない夫に“話”を聞いてもらうにはどうしたらよいと思うか、というような質問に対して、あれやこれや答えた。「自分のことは棚にあげて何を……」という苦笑が聞こえてきそうだが、“話を聞かない夫”だからこそ、上記の問いに対して参考になる助言ができるというのも事実と思う。

このエントリーでは、知覚できなかった“話”を知覚するに至った私の数少ない経験を総動員しながら、 また先日参加したセミナー *1 でのことを思い起こしながら、“話を聞かない夫”に“話”を聞いてもらうのに、私が大事と思う5つのことを紹介したい。

−話を聞かない夫に話を聞いてもらうのに大事な5つのこと。
1.タイミングを選ぶ
2.協力・努力に感謝する
3.感情をぶちまけない
4.事実を基に理解を求める
5.責めない、追い込まない、そして安心させる


1.タイミングを選ぶ
自分はしばらく一人で出かけることもできないでいるのに、旦那が呑気に酔っぱらって帰ってきたらあまりいい気分でなく一言言いたくなるのは理解できる。また、旦那の仕事が忙しく、朝早く出て、帰宅は深夜、休日は寝てばかりなので、平日の夜に帰宅してきたときくらいしか話ができないというのもわかる。

だが、夫が酔っぱらっているときやへとへとに疲れているときは、話をするに適切なタイミングではない。前者の場合は口論になって終わり、後者の場合は聞き流されて終わり、いずれにしても何も解決には到らない。

相手の話の聞く許容度が一番高いタイミングを選ばなければ、“話を聞かない夫”はまず妻の“話”を知覚できない。私の場合は、子どもを両親に預け、二人で外で旨い料理と酒を楽しんでいるときやドライブにでかけた帰りに子どもがぐっすり寝てしまったときとかは結構落ち着いて話を聞くことができる。タイミングは人それぞれとは思うが、許容度のあがるタイミングを見つけ、その時間を作り出すことが“話”を聞かせる第一歩と思う。

2.協力・努力に感謝する
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説得とは、相手に行動を起こさせるコミュニケーションの機能である。行動の前提にはわかったという了解、すなわちイエスが必要になる。そこで、人を説得するには、何よりもまず、相手からイエスを獲得しなければならない
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『必ずYESといわせる説得のコツ』 福田健著 日本実業出版社 「説得に成功する原則」 P16〜から引用。
http://www.njg.co.jp/kensaku_shousai.php?isbn=ISBN978-4-534-04682-6

話の導入は、相手がYESということから始めるというのは交渉術の基礎の基礎だ。相手に対する不満、要望をいきなりぶちまけ、相手がNOから入ったら、話は絶対にまとまらないし、関係がより悪化しYESが遠のくだけである。だから、まずは夫がYESと自分の言っていることに同意する話題から始めるのが得策だ。

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このように、まず相手をほめておくのは、歯科医がまず局部麻酔をするのによく似ている。もちろん、あとでガリガリやられるが、麻酔はその痛みを消してくれる。
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『人を動かす 新装版』 D・カーネギー著/山口博訳 創元社 「まずほめる」 P274〜より引用。
http://www.sogensha.co.jp/booklist.php?act=details&ISBN_5=10051

同じYESという答えを引き出すなら、相手を誉める話題にするに越したことはない。子どもが生まれたら十分、不十分はさておき、夫は自分の時間のいくらかを犠牲にして、いくらかの貢献をしているのだから、まずそこに対して誉めたり、感謝をすれば、最初のYESは獲得できる。

間違っても「子育てっておむつ替えだけじゃないんだから、他のことも手伝って」というところから初めてはいけない。「この前、夕ご飯の支度でてんてこまいの時に、おむつを変えてくれたのでとても助かった。食事の支度の際におむつを替えると、手を拭いて、おむつを替えて、手を洗ってってしないといけないので大変なんだけど、おかげでスムーズに食事の準備ができた、どうもありがとう」というところからスタートして、相手の協力・努力に感謝を示すことが、もっと大きな協力と努力を引き出すために大事なことだ。演歌調にでも誉められればそれはうれしいものだ。

3.感情をぶちまけない
妻が不満と感情をぶちまけたときに、典型的な“話を聞かない夫”がとる行動は、拒絶、逃避、謝罪(つまるところ逃避)のどれかだろう。多少は感情がはいってもいいとは思うが、ぶちまけてはいけない。というか、感情をぶちまけたら、その時点でその行為は既に説得ではない。*2

また、“ただ聞いて欲しいこと”“解決に向けて協力を求めること”をごちゃまぜにしてはいけない。その両方を一度にぶつけられて、対処できるのは“話を聞く夫”だけだ。“話を聞かない夫”を相手にするのであれば、その2つをきちんとわけて、前者は友人を相手に解消し、後者からまず着手することが正しいアプローチだろう。それでも“夫にもただ話を聞いて欲しい”という人は、夫の書架にこっそり『人を動かす』でも置いておき、別のイニシャチブとするのがよいだろう。

4.事実を基に理解を求める
「夫婦なんだから言わずとも察して欲しい」というのは“話を聞かない夫”にはハードルが高い。というか、それができたら“話を聞く夫”に分類されるべきだ。また、現状の理解を求めるのに「大変だ」とか「つらい」という言葉だけでは不十分だ。夫の頭の中に、まず“大変さ”や“つらさ”を理解してもらうための、定量的な事実をインプットしなければ、理解には至らない。

「夜中に授乳しないといけないので、睡眠不足で大変だ」と言っても、「俺が昼仕事をしている間に、こどもと一緒にどうせ昼寝してるんだから大丈夫だろう」と普通の夫は心の中でこっそり思う。*3

例えば、

・授乳に要する時間とその一日の回数
・おむつ替えに要する時間とその回数
・子どもの食事の準備から片付けに要する時間
・子どもが不機嫌でだっこしてあやさなければならない時間と一日の平均回数
・子どもと遊んであげる時間
・それ以外に想定外に発生する事項とその対処に要する時間

といったコアの育児時間を算定し、それに掃除、洗濯、買い物、大人の食事の準備といった主要な家事に要する時間を算定すれば、その結果として残される自由な時間がどれくらいあるかがわかる。私は2人子どもを育てているので、ピーク時は自由な時間などほとんどとれないことはわかっている。だが、それらがわからない人は、上記のような内容が定量的な事実として示されて初めて“大変さ”や“つらさ”の理解の入り口にたつのだ。*4

5.責めない、追い込まない、そして安心させる
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われわれは、あまりたいした抵抗を感じないで自分の考え方を変える場合がよくある。ところが、人から誤りを指摘されると、腹を立てて、意地を張る。われわれは実にいいかげんな動機から、いろいろな信念を持つようになる。だが、その信念をだれかが変えさせようとすると、われわれは、がむしゃらに反対する。この場合、われわれが重視しているのは、明らかに、信念そのものではなく、危機にひんした自尊心なのである……。
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『人を動かす 新装版』 D・カーネギー著/山口博訳 創元社 「誤りを指摘しない」 P172〜より引用。
http://www.sogensha.co.jp/booklist.php?act=details&ISBN_5=10051

夫の無理解、非協力的な姿勢を責めるのは得策ではない。本当の目的は夫のガードを下げ、“話”を聞いてもらうことなのに、責めたり、非難したり、そして追い込んだりしたら、ますますガードが固くなるだけだ。攻め込んだ結果「俺だって会社で大変なんだ」というようなモードになると、面倒なだけなので極力そっちにいかないようにしなければならない。

また、相手が「そうだったのか……」と理解を示したときに、「そうだよ! 今頃気づいたの?」などと責めのパンチを打ち込んではいけない、折角下がったガードが再びあがるか、自尊心を傷つけられ理解・協力をしようという意欲がそがれるだけだ。

家事や育児に非協力的な夫はその手の話を妻としているときには「追加で今以上に家庭のことをやらされ、自分の自由な時間がまた減るのではないか」ということが不安なんだと思う。まぁ、それはそれで勝手な話ではあるが、その不安を解消することなく、前に突き進んでも色よい返事は引き出せない。

互いに理解・協力をすることで、より少ないストレスと負担で、より多くのアウトプット(部屋の掃除が行き届く、料理が旨い、自由な時間がもっととれる)がえることができるという共通の目的とそれを達成するためのストーリーを相手との対話の中で作り出すことが大事である。*5

と、“話を聞かない夫”目線で勝手なことを書いたが、「なんで妻ばかりこんな気を遣わなければならないんだ」と反発する方もいるかもしれない。そんな方のために下記の言葉を送りたい。

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自分にまったく責任がないことなど滅多にあるものではない。たいてい、問題に巻き込まれたら、多かれ少なかれその原因の一端は自分自身にあるものだ。

最高のダイアローグができる人はこの基本を理解しており、「自分から始める」という原則を実践している。自分の行動や態度を改善することで自分が得をするから、という理由だけではない。自分が直接働きかけられる対象は、結局自分しかいないからだ。相手が心を改めなくてはならないのと同じように、自分自身も継続的な向上を目指して鍛錬し続けなくてはならない。
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『言いにくいことを上手に伝えるスマート対話術』 パターソン・K,マクミラン・R著 講談社 「第3章自分から始める」 P.52〜より引用 *6
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2117258

相手を変えようと思ったら、まずは自分を変えることから始めよ、とのことです。Good Luck。

*1:「産後女性のコモンセンスとパートナーシップへの雑感」2010.08.31 『Casual Thoughts』
http://d.hatena.ne.jp/ktdisk/20100831/1283208925
*2:妻が感情をぶちまけるのを見て、危機意識がそれを機に芽生える夫はいるかもしれないし、それが突破口になることもあるかもしれない。ただ、それはあくまで“飛び道具”であるので、ここぞという時でないと効果は発揮されないだろう。
*3:こんなことを書くと炎上しそうで怖いが、でもこういう認識を持っている人が多いという事実は事実として受け止めるべきと思う
*4:『Twitter』のつぶやき回数というのは、簡単に取得できるネガティヴな定量的な事実なので注意が必要だ。世の夫はこういう定量データに弱いのだ。
*5:具体的なHow Toは『言いにくいことを上手に伝えるスマート対話術』が一番詳しい。
*6:原書のタイトルは『Crucial Conversations』という良書なのに、こんなタイトルをつけるから絶版になってしまうんだ……

執筆: この記事はktdiskさんのブログ『Casual Thoughts』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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