隠れた実力者、ジム・ミラー。戦績的にはライト級の岡見勇信といったところか。実弟のダン・ミラーはミドル級で活躍中だ

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11日(土・現地時間)にモントリオールのベル・センターで行われるUFC124「St-Pierre vs Koscheck II」。ファンのお目当ては、当然メインのUFC世界ウェルター級選手権試合GSP×ジョシュ・コスチェック戦だが、メインカードでは非常に興味深いライト級マッチ2試合、ジョー・スティーブンソン×マック・ダンジグ、ジム・ミラー×シャーウス・オリベイラ戦が組まれている。

PPVのオープニングを飾るスティーブンソン×ダンジグもそうだが。より注目したいのが、シャーウス・オリベイラとダン・ミラーの試合だ。TUFシーズン・ウィナーのスティーブンソンやダンジグが勝ったり負けたりしているUFCライト級戦線で、ダン・ミラーはダンジグからの勝利を含め、実に8勝1敗という成績を残している。

1敗の相手は次期タイトル挑戦者=グレイ・メイナード、加えていうならばUFC参戦以前に唯一の敗北を喫した相手は現世界王者のフランク・エドガーだ。ミラーの通算戦績は18勝2敗、UFC以前にもバート・パラジェンスキー、クリス・リグオリ、ヌーリ・シャクアー、ムシン・コーベリーという実力者を倒してきた。

3年のUFC在籍で真のトップどころとの戦いこそ経験していないが、この試合でPPVショー&UFNと4試合連続のメインカード出場となり、結果で評価を上げてきた。打撃、レスリング、柔術のなかで、何かが特に秀でているということではなく、穴のないトータルファイターぶりを常に見せている。

そんな隠れ実力者のミラーと対戦するのは、この試合がUFC3戦目となるオリベイラだ。細身のボディと長い手足を駆使し、2試合連続で一本勝ちを収めている。彼もまた、とりわけ特別な動きをするわけではないが、基本に忠実なテクニックを尋常でないスピードで仕掛けることで、オリベイラの繰り出す技は、類まれなる切れを見せることになる。

その技の切れが、ダレン・エルキンスやエフライン・エスクデロ相手だから可能になったのか、トップ戦線でも同様の動きを見せることができるのか。トップ戦線入りへの査定試合、それがこのミラー戦ということになるだろう。

北米のカジュアル・ファンの間では、より注目度の高いスティーブンソン×ダンジグ戦、それぞれがTUF2とTUF6のウェルター級ウィナーだ。その後、ライト級に転向を果たしたという似通った過去を持つ両者、スティーブンソンは、2008年1月にBJ・ペンとライト級暫定世界王座を賭けて戦ったものの一本負けを喫すると、勝ったり負けたりを繰り返し、それ以降の戦績は3勝3敗と厳しい状況にある。

とはいっても、彼が敗れた相手はケニー・フロリアン、ディエゴ・サンチェスのタイトル挑戦組とジョージ・ソティロポロスという強豪揃いで、勝った相手もグレジソン・チバウ、ネイト・ディアズ、スペンサー・フィッシャーという錚々たる実力者たち。

スティーブンソンが勝ち越せない事実は、UFCライト級戦線のレベルと頂の高さを顕著に表している。そんな勝てない状況に、一時はフェザー級に転向して日本を主戦場に戦うことも視野に入れていたビッグ・ダディだが、ダンジグ戦の結果如何によってはUFC内でフェザー級転向を考えるだろう。

一方のダンジグは、UFC戦績3勝3敗という崖っぷちで挑んだ6月のマット・ワイマン戦で、ギロチンでタップをしなかったにも関わらず、レフェリーが落ちたと判断しTKO負けを喫した。必死の形相で抗議し、裁定は覆らなかったもののUFCでは、9月に再戦を行うことを即座に発表。しかし、この大切な一戦を練習中の負傷でキャンセルせざるを得なかったダンジグにとって、スティーブンソンとの一戦はまさに生残りを賭けた戦いとなる。

シーズン8ライト級ウィナーのエスクデロがリリースされたように、TUFウィナーといえども、リストラの対象となるUFCライト級戦線。エドガー政権の樹立と、WEC勢の参戦によって、新たな時代を迎えつつある。