経済のしくみがよくわからないあなたに、池上彰さんがやさしく解説

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 2010年はまさに池上彰さんの年だった。
 流行語大賞トップ10には、池上さんの「いい質問ですね」がランクイン。また、ティーンズファッション雑誌『Seventeen』のST-1大賞文化人部門でも受賞。
 4月に始まった『そうだったのか!池上彰の学べるニュース』(テレビ朝日系)は現在でも15%前後を推移する人気番組に。この池上人気を追い風に、テレビ朝日では、6時間半の大みそか超拡大特番を決定。池上人気は、年を越してもなお続く気配だ。

 池上さんといえば、『週刊こどもニュース』(NHK)時代から定評のある“分かりやすい説明”。池上さんの“分かりやすさ”の原点の1つは、“そもそも〜”という「基本」の話をしっかりとしてくれる点につきるようだ。

 海竜社から出版されている『経済のことよくわからないまま社会人になってしまった人へ(増補改訂版)』(海竜社/刊)は、もともと、「経済のことがよくわからない」と言う編集者の率直な質問に答えているうちに完成したと、池上さんは「あとがき」で述べている。

 “分からない人”が理解できるように説明するには、 “そもそも〜”という基本の部分を教え、基本を押さえた上で段階的に解説を重ねることが大切なようだ。本書では、「基本を押さえる」という点において徹底的だ。
 例えば「景気」のカラクリを知りたければ、そもそも私たちの経済活動が、社会全体にどのような影響を与えているのかを押さえることで、格段にその後の理解は深まる。
 池上さんは、まず「経済において、そもそも“物を買う”とはどういう意味があるのか」、ということから説明してくれる。

 例えば、あなたが洋服店でジャケットを1着買ったとしよう。そのとき、あなたが支払ったお金はその後、どのように扱われるのか、想像したことはあるだろうか。
 そのジャケット代はお店に入るだけではない。製造したメーカー、輸送会社、メーカーの下請け会社、そのまた下請け会社などといった具合に、様々な関連会社に分配される。
 そして、各々の会社に分配されたジャケット代の一部は、各々の会社の従業員の給料の一部になる。従業員たちはそのお金で物を買い、また別の人たちに分配されていく……といった具合に、「買う(=お金を使う)」という行為そのものが、結果として世の中の人たちの生活を支えることになる。
 “物を買う”ということは、“自分の欲しいものを手に入れる”ということだけではなく、世の中の経済を支えることにつながる、こう池上さんは解説する。

 こう見ると、「みんなが使うお金をとにかく増やせば、景気がよくなるのでは?」と思うだろう。
 ところがそういう話でもない。この基本を踏まえて、池上さんは好景気と不景気が循環する理由を説明してくれる。だから景気のカラクリが自然と頭に入ってくるのだ。

 本書は「買う」から始まり、「投資する」「借りる」「世の中をつかむ」「備える」「納める」という6つ経済活動で各章を構成。もちろん「投資する」など興味のある章だけを読んでもいいのだが、全体を読み通すことで、初めて社会で起きている経済活動の全体像を理解することができる。

 海竜社から出版されている池上さんの書籍の累計発行部数は、間もなく100万部にも達する勢いだという。
 “基本”を理解しないことには、その知識はしっかりと身に付かない。「経済のことや世の中のしくみが全然わからない」という方はもちろん、「なんとなく知っている」だけで済ませている方も、池上さんの解説で、まずは基本をしっかりおさらいしてみてはいかがだろう。「世の中のしくみがわかれば、世の中に対して自信がつく」、これが池上さんからのメッセージだ。
(新刊JP編集部/金井元貴)

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