紀伊国屋書店新宿本店 ピクウィック・クラブさんに聞く『私のフロア(お店)では今年、こんな本が売れた! 2010年売れた3冊』
 世の中にはあんな本やこんな本、いろんな本がある。そのテーマも十人十色。「感動したい本が読みたい!」「思いっきり怖い本を味わいたい」と思っても、 どんな本を選べばいいのか分からない! とお悩みの方も多いはずでは?
 そんなときにあなたの味方になるのが書店員さんたちだ。本のソムリエ、コンシェルジュとしてあなたを本の世界に誘ってくれる書店員さんたち。
 そんな彼らに、テーマごとにお勧めしたい本を3冊答えてもらうのが毎週水曜日に配信する、この「わたしの3冊」だ。【「わたしの3冊」バックナンバーはこちらから】

 12月のテーマは『私のフロア(お店)では今年、こんな本が売れた 2010年売れた3冊』。書店員さんに担当しているフロア(お店)で今年、評判の良かった本を紹介して頂く。
 今回は紀伊国屋書店新宿本店の文学愛好サークル、ピクウィック・クラブの皆さんに選んでいただいた。


◆『宇宙飛行士 オモン・ラー』

著者:ヴィクトル・ペレーヴィン/翻訳:尾山慎二
出版社:群像社
定価(税込み):1575円

毎年夏が近づくと天文系の書籍がよく売れるようになる。昨年は皆既日食があり、観察用のキットや関連書籍がよく売れたが、今年はこれといった目玉がなかった。そんな折、満を持して発売されたのはペレーヴィンの『宇宙飛行士オモン・ラー』だ。私が働いている専門書フロアには通常このような文学作品は置かないのだが、昨年ひっそりとカルヴィーノの『レ・コスミコミケ』を展開したのに引き続き、今年はこれをひっそり展開した。
一言で言ってしまえば月に行くために宇宙飛行士を志したオモン君の人生の話であるが、主題はそこになく、むしろ旧ソ連当時の社会主義的な国勢に翻弄されながらも生を選択しなくてはならない人間たちのグロテスクさに圧倒される。カバーに書いてあるあらすじには「スペース・ファンタジー」などという『銀河鉄道 999』を彷彿させるようなかわいらしい文言が書いてあるが、はっきり言って本の中にかわいらしさは微塵もない。そんなわけであらすじを読んで惹かれて買って下さった天文ファンにはこの場を借りてお詫びしたい。

◆『夢の遠近法 山尾悠子初期作品選』

著者:山尾悠子
出版社:国書刊行会
定価(税込み):1890円

2000年夏、国書刊行会より『山尾悠子作品集成』が刊行され、それから十年。今年の秋、同じく国書刊行会より『夢の遠近法 山尾悠子初期作品選』が刊行されました。この十年のあいだに『ラピスラズリ』と『歪み真珠』というふたつの新作が発表され、熱烈なファンからの注目を浴びてきた作家ですが、世間での認識はさほど高くはないかもしれません。山尾悠子の描く世界は、幻想的で、謎と憂いに満ち、どこかフェティッシュな愛情を刺激するもの。本棚に一冊持っているだけで気分が高揚するような、不思議な存在感があります。タイトルだけ眺めてみても、「夢の棲む町」、「透明族に関するエスキス」、「童話・支那風小夜曲集」…や、やっぱりいいよなあ。

◆『野生の探偵たち(上)・(下)』

著者:ロベルト・ボラーニョ/翻訳:柳原孝敦、松本健二
出版社:白水社
定価(税込み):(各)2940円

本書は、失踪したふたりの詩人の行方をインタビューでもって追跡する。様々な人の証言は、それぞれが短編集のようで不思議な話があれば悲しい話もあり、またバカバカしいのもある。そして、完結しては途切れてしまう。ふたりのぼんやりとした像しか見せない。しかし、そもそも他人が何を思っているかなんて分からないもの。
インタビューによって断片を繋げていくことは効果的にふたりの魅力を伝える。だけど気をつけて。彼らは決して良い奴ではなく、はらわたリアリストで、そのうちひとりはゲイでもあるから。

◇   ◇   ◇

【今回の書店】
紀伊國屋書店 新宿本店

今回ご協力いただいたピクウィック・クラブさんは紀伊國屋書店新宿本店の書店員さんたちによって結成された文学愛好サークル。今年4月には「ワールド文学カップ」と題した大規模フェアを展開するなど、精力的に活動中。

住所:東京都新宿区新宿3-17-7
TEL:03-3354-0131
FAX:03-3354-0275

■アクセス
JR新宿駅東口より徒歩3分、 地下鉄丸の内線・副都心線・都営新宿線「新宿三丁目」B7、B8出口より徒歩1分(地下道より直結)

■営業時間
10:00AM〜9:00PM

■ウェブサイト
http://www.kinokuniya.co.jp/


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