『ファイナルファンタジー13』開発チームでは以前こんなことがあったという。「プロジェクトの進展に伴って、古い組織構造ではだんだん無理が出てきた。専門部門を細かく分けすぎたため、それぞれの部門での問題がどんどんたまっていった。そして、部門間の意思疎通もなかなかうまく行かず、最終的にはチーム内で衝突が起こり、プロジェクトが一時中断を余儀なくされた」

 日本に限らず世界中の大型ゲーム開発チームにとって、これと似たような状況は決して珍しいものではない。そしてその解決方法も簡単で、細胞構造のように、組織をその特性に応じて分ければいいのである。こうすることでスムーズな意思疎通が可能となり、個々のスタッフの構想や意見が重視、検討され、それぞれの積極性を引き出すことができるようになる。

 もちろん、伝統的な組織構造も維持していくべきだ。すべてのスタッフが「二重国籍」を持ち、横方向のスムーズな意思疎通と同時に縦方向の交流を保つことで、会社の管理と専門内容における協調を図ることができるからだ。

 開発チームや業界全体の士気もゲーム自身の品質に大きく影響する要素である。今の日本のゲーム業界のように、全体に悲観的な空気が漂っているようでは、関連の人材を失い、その後も穴が埋まらないことになってしまう。そのような雰囲気のもと制作されるゲームも暗いイメージのものとなってしまうだろう。

 彼らの士気を高めるもっとも正しい方法は、合理的な所得と勤務時間を設定し、健康的な生活方式を促進することで、スタッフの生活の質を改善することである。これにより、スタッフの創造力を高めるだけでなく、良好な企業または産業イメージを確立し、より多くの優秀な人材をゲーム事業に引き込むことができるのだ。

 落ち込む開発環境において、日本は新しい血を入れ、システム全体の活力を呼び覚ます必要がある。その新しい血を探し出す方法として、以下の2つが挙げられる。

 1つは、海外から人材を導入すること。2つ目は、海外のゲーム開発チームとの協力体制を築くことである。この2つの方法で、開発チームにこれまでとは違った考え方をもたらし、潜在的発展空間を開拓し、チームの外国文化への理解を深めることができる。ただし、言葉の壁や現地の文化への理解度等の問題もあるため、スタッフに対する要求はさらに高いものとなる。(おわり 編集担当:米原裕子)



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