「ビジネスマン」「サラリーマン」「会社員」、どう使い分ける?

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 11月30日に新刊JPニュースにて取り上げた『日本語 語感の辞典』(中村明/著、岩波書店/刊)。この記事について、新刊JP編集部には「この辞典、なんだか面白そう」「自分の机の上に置いておきたい1冊」といった意見が寄せられ、多くの人が興味を持っていることがうかがえました。

 今回はこの『日本語 語感の辞典』の魅力により深く迫るべく、日常生活で惑わされがちな2つのケースを挙げて、その言葉の「語感」を説明していきます。

◆「居眠りする」「まどろむ」「うとうとする」、仲間外れは?

 お昼ごはんを食べた後の、午後一番の業務。「うとうと」したり、「居眠りして」しまったりすることも多いのではないでしょうか。ここで注意して欲しいことは、この同じような意味に見える2つの言葉「うとうとする」と「居眠りする」の意味は違うということです。

 「うとうとする」を『語感の辞典』で引いてみると、「浅く眠りかける意で、会話や改まらない文章などに使う語」と出ています。一方、「居眠りする」「座ったまま浅く眠る意」とあり、「うとうとする」は眠りかけの状態、「居眠りする」は眠っている行為を指します。
 また、「まどろむ」「ごく浅い眠りを意味する古風で文学的な和語的な表現」ですから、もし、「お前、寝ていたんじゃないの?」となじられたら、「居眠りしていました…」とか「まどろみました…」と言ってはいけませんよ。

◆「ビジネスマン」と「サラリーマン」と「会社員」、この語感の違いは?

 「ビジネスマン」「サラリーマン」、そして「会社員」。まぎらわしいこの3つの言葉の違いはなんでしょうか。まずは見比べてみましょう。

ビジネスマン・・・会社員のうち現業部門に対して特に事務系職員をさして、会話にも文章にも使われる比較的新しい感じの外来語・・・実業家をさす用法もある

サラリーマン・・・役所や企業に勤務し給料をもらって生活している人をさし、会話や硬くない文章に使われる日常の外来語・・・「会社員」や「ビジネスマン」より広義

会社員・・・会社に雇用されて業務に従事する人をさし、会話にも文章にも使われる漢語・・・「サラリーマン」の代名詞のように意識されている


 こうして見てみると、給料や生活を意識した「サラリーマン」が最も広い対象を持ち、続いて「会社員」。「ビジネスマン」は比較的新しい感じがする語ですが、使える部分が限られているということが分かりますね。同じような言葉でも、「感じ」が違うとその意味も少しずつ違ってきます。

 『日本語 語感の辞典』の魅力の1つは、各項目の末尾に、同じような意味を持つ語が表記されており、他にどのような言い回しがあるのかが分かることです。
 例えば「セックス」という項目を見てみると、「営み」「エッチ」「関係」「合歓」「交合」「交接」「情交」「情を通じる」「性交」「性行為」「性交渉」など、なんと26の関係する語が掲載されています。この言い回しの数から考えても、日本人は「セックス」をストレートに言えず、隠したがる性分であることが分かります。

 どんな読み方をしても楽しめる、新しい感覚の辞典『日本語 語感の辞典』。まだ手に取ってない人は是非試してみてください。
(新刊JP編集部/金井元貴)

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