韓国メディアは、世界的な学術誌ネイチャーのコラムを引用しつつ、「選考側のミスで韓国人初のノーベル賞受賞がだめになった」と伝えた。同国では「悔しい」などとする意見が高まり始めた。ノーベル物理学賞は、スウェーデン王立アカデミーが選考作業を行う。

 2010年のノーベル物理学賞は英マンチェスター大学のアンドレ・ガイム教授とコンスタンチン・ノボセロフ教授が共同授賞した。複層構造のグラファイトから単層構造のグラフェンを分離し、さまざまな性質を発見したとして、先駆的研究が評価された。

 しかし、米ジョージア工大のウォルター・ド・ヒア教授はノーベル物理学賞の選考委員会に書簡を送り、両教授が04年サイエンス誌で発表した論文が扱った物質はグラファイトだったと指摘した。グラフェン分離の成功を示した論文は、05年ネイチャー誌の438号に掲載されたもので、米コロンビア大学のキム・フィリップ教授によるもの主張。ヒア教授によると、ノーベル賞委員会は「グラファイト」と「グラフェン」を混同したことになる。

 24日付のネイチャーのオンラインコラムは、「ノーベル賞委員会がキム教授の研究成果を過小評価した」、「多くの学者はキム教授が共同受賞するべきと考える」とするド・ヒア教授の見解を紹介。ノーベル賞委員会も「なんらかのミスがあったと考える。ウェブサイトで、見解を明らかにする」と発表した。授賞した両教授も「喜んでキム教授と賞を共有したい」と述べたという。 韓国メディアは相次いで、「韓国人初のノーベル賞受賞が、ミスでだめになった」などと報じた。同国の学会も悔しいとの声があがっており、メディアは「授賞した両学者の論文とキム教授の論文は同時期で、キム教授の受賞の資格は充分だ」と強調した。

 キム教授は、86年にソウル大学物理学の修士課程を経て、米ハーバード大学で博士号を取得、01年からコロンビア大学の教授を務めている。国籍は韓国。(編集担当:金志秀)



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